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加工に必要な機械があれば十分であり、あまり大きな艤装工場の必要はない。
社内製作を行う場合は、船体関係だけでも
ア)諸管  イ)鈑金  ウ)鍛冶   エ)機械   オ)船具
カ)木工  キ)塗装
などの職種別の専門工場が必要となる。またこのような場合に職種別専門の職員を配置することは小型造船所では経営面からも無理であり、また専門職を配置するほど生産量も多くないからなるべく職員の多能工化を行い、諸管、鈑金、鍛冶、等の金属加工、木工、船具、塗装などとくに居住区域では内装をまとめる場合もある。木工場は最近は合板、化粧板などを内装に(インテリアル)として多量に使用されるから以前のように製材設備の必要は無く、加工木工機械程度で十分である。木工場は火災発生などの保安上からも独立した場所が望ましいが隣接している場合には木屑など飛散防止を十分に行うことが必要である。小型造船所の火災の現場は木工場からの例が特に多い、普段の注意が特に必要である。
修繕船が多い造船所では機関の分類整備場を設けたい。主機関や補機関の分解検査ができる設備および能力があれば十分である。最近では浮ドックの舷側部の一部を機関分解整備場に使用している例もある。陸揚がはぶけるので運搬の合理化にもなり効果をあげている。
電気関係についても同様で、電気艤装品は取付けに至るまで外注依存が多いが、点検が簡単な修繕、部品交換ができる清潔な場所と検査要具の設備はもちたいものである。
(12) 工員休憩所・食堂・浴室など
最近は職場環境、厚生施設など以前と異なり各造船所も十分な配慮を行っている。造船の作業は重労働である。はげしく働く者にとって休憩時間は貴重な休養のひと時であり、休憩所はできるだけよい環境にしなければならない。休憩所には最小限の通勤服、貴重品等の格納のための個人ロッカー、椅子、テーブルは必要である。食堂を兼用しているところもあるがタバコ、飲料品の販売器など設置されているところが多くなっている。休憩所の入口附近には手洗場を設け洗眼器などの衛生面の注意も必要である。
また一日の仕事終了時には、鉄粉、おがくず、悪臭、油よごれなどがあるからシャワー、浴場の設備はぜひ必要である。
こうした「働く者に対する快適な設備」「工場の居心地」というものは明日へのかてになり優秀な従業員の確保にもつながる。従業員の待遇改善策の一つとなる。
(13) ドックハウス
船の乗組員または艤装員のための宿泊設備のことをいう。これは船が大型になればなるほど必要度が増すが、修繕船の場合に、船が造船所と同じ地区にある場合は家族のもとに帰れるが、遠方の場合は修繕の期間中に宿泊の設備が必要となる。また家族づれの宿泊の希望者

 

 

 

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