日本財団 図書館


架線式の配線は、クレーンの振廻しなどによる障害となるばかりでなく思わぬ感電事故のもととなるので、地下ケーブル式の配線が望ましい。やむを得ず架線とする場合には日常の風潮による絶縁劣化、暴風の際の断線、海水飛沫による塩害を起すこともあるので軽視できない。
また、艤装岸壁の係留船の船内への給電は、いろいろの障害物や作業員で混雑するので、その配線には特に注意が必要である。
工場内の照明については夜間作業を考慮して予め計画を立て配線をしておけば便利である。変電所は、なるべく高所に設備し、高所配置が不可能な場合には床面を高くし高潮などの被害が生じないよう工夫する。また周囲は塩害を生じないようコンクリートまたはブロック囲壁構造とする。ガス関係は、都市ガスまたはプロパンガスが一般燃料として使用されているが、工事用に大量に使用するときはプロパン系のものが使用される。
酸素、アセチレンを含めて大量にガスを使用する場合には、安全管理上からも集合配管式として予め諸要部に配管しておく。しかし集合配管は管の漏洩などの保守点検が必要である。
圧縮空気も動力として、孔あけ、鋲打ち、はつり研磨、コーキング、板曲げなどの空気器具に使用されるが、これらの空気動力は電動または機動の空気圧縮機から供給する。このため空気圧縮機室も設けなければならない。
その他 上水道、下水道、消化栓、排水設備等が必要である。
(10) 倉庫
船に使用する材料は、鋼材をはじめとして、多種多様にわたっている。また素材でない副資材、艤装品の類になると非常に種類が多くなる。これらを全部格納して管理する倉庫を完備することは小型造船所ではむずかしい。しかし、これらの材料には絶対に露天には設置できないものがあるから最小限度の倉庫設備は必要である。また材料管理を十分行うためには、諸倉庫を完備することが必要となる。
倉庫には購入品、船具、工具、油類、危険物、など物品別に分類保管すると、出入庫品の管理に便利である。倉庫の配置は、作業場より手軽に取り出せるところがよく艤装岸壁、艤装工場、運搬道路、クレーンなど運搬機具との関連を考慮して決められる。また、火災発生の危険を防止するためにも隣接する建物との距離なども留意することが大切である。可燃物、危険物の格納に消防法による安全な別棟とする。
(11) 艤装工場
艤装工場を社内製作とするか、また下請(外注)に依存するかの割合によって艤装工場の大きさ、機械類の設備内容も異なる。艤装品関係の関連工場が造船所の近くにあるところでは外注の依存度が多くなっている。このような場合には艤装工場は、各種艤装品・現場合せ

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION