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もあるのでアパート式の宿舎を工場の附近に設けることが望ましい。
艤装員とは新造船の完成がせまると、試運転、諸試験の立合いなどに本船乗船の予定者である船長以下の乗組員が完成引渡しまでの数日間本船完成まで立会い本船装備の装置、機器、計器などの工事の確認をする。これらの乗組員予定者を本船引渡しまで造船所側では本船の艤装員として待遇するのが一般的である。
同様に従業員の宿舎、独身寮なども、最近は整備されるようになった。特に遠隔地にある造船所は通勤の便ばかりでなく、若い技術者を集めるための厚生施設の一つである。
(14) その他の設備
守衛所、車庫(自動車、自転車)、パーキング場、スクラップ置場、ゴミ捨場など造船所運営には必要なものばかりである。どれがスクラップかどれがゴミか判別できないようなものが構内に点々と見うけられる造船所もあるが、これでは工場全体の機能を生かすことができない、全体の効率にも大きく影響する。最近の新設工場では敷地内に工場立地法(1,000?u以上)敷地の20%の緑地帯を設けることが義務づけられている。
(15) 構内道路
運搬用小型車が開発され、外注品の納入から構内の各工場の連絡まで重量物の運搬に効果をあげている。
しかし旧態の造船所は構内道路が整備されていないため切角の便利な動具が思うように働けないものもある。構内道路の整備は運搬能率に非常に影響を持つ。
 
1.2.7 設備の近代化の傾向
 
最近の小型造船所(500G/T未満の造修)の近代化の設備投資の傾向は、運輸省の実態調査資料によれば、1位運搬設備、2位FRP積層工場、3位厚生施設で以下引揚船台、現図場、内業工場などとなっている。3位の厚生施設をのぞけば、すべて建修に必要な設備となっている。
最近の不況の風は、設備投資には経営者も手控えと我慢の時期と考え風あたりの緩和を待つ傾向が強い。しかし苦境を乗越えるために、非能率的な設備の一部を改善して、効果的な省力化ができればこれも一つのねらいである。
運搬設備の投資が1位であることは、従来あまり重視しなかった運搬設備が工程管理上にいかに重要なものかが認められた結果であろう。3位の厚生施設は、従業員の職場環境の改善であり、好ましい傾向である。その他、引揚船台、現図場、内業工場などの設備は、いずれも合理化、近代化とともに、品質管理の面でもまた、職場環境の面からもその効果は大きい。
(1) 船台(建造および修繕用)
船台は、建造船用と修繕船の引揚船台とがあるが、小型造船所では、造修兼用としている

 

 

 

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