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(b) 運搬設備の考え方
ア)造船所の工場配置は、運搬作業が円滑に行くことが第一であるが、生産方式、規模、立地条件などによって機種、能力などが選定される。部材、製品の流れが不具合な場合は、工場配置を再検討する必要もある。
イ)運搬物件は鋼材、ブロック、主機関、諸艤装品、動力機材・足場材などである。これらの数量、大きさ、重量、運搬の頻度などを検討する必要がある。ブロック建造の場合は、運搬重量、大きさなどの有効なブロック分割を行い、運搬能力を決定することが大切である。
ウ)クレーン、トロッコなど効果的に利用するには軌条、道路などの整備が必要となるが、その場合には荷重頻度に応じた基礎工事を行うことが必要となる。
工)構内道路および工場内の運搬路の整備
最近、小型運搬器具の開発により、部材、部品など頻度の多いものには利用度が大きい。構内運搬路の整備が大切となっている。
オ)造船所の発生事故の中で運搬に関係するものが非常に大きい、安全対策に十分配慮することが大切である。また安全規則に関連した事項も多いので注意する必要がある。
カ)稼動中の保全対策としては、日常点検、注油作業、部品交換などが簡単にできるものが望ましい。
(6) 艤装岸壁
船台上で組立られた船体は、船底塗装、軸系、プロペラ、舵板などの水中部分の所要作業を終えた段階で、黄道吉日の満潮時を選んで進水させる。進水した船体は艤装岸壁に係留されて、残りの艤装工事を行う。最近は、船体工事と平行して“先行艤装”を行うことによって、工期の短縮を行っている造船所も多く、艤装岸壁の工事期間も短縮されている。艤装工事は納期がせまると、とっかん工事も多くなり、各種の艤装工事がわれ先に工事を進めるため思わぬトラブルを生ずることもある。理想的な艤装岸壁は船体の横係留で係留の各船をカバーする走行クレーンを配置するとよい。
艤装岸壁附近には、水、空気、電力、ガスなどの動力を配置し、係留船に便利よく導入できるようにする。艤装岸壁に近い位置に艤装工場を配置する。艤装工場には、機関、電気関係の艤装品の製作、主機関の分解組立、船体艤装品の製作、土木工場などが配置される。また艤装工場の附近には搭載品の購入品倉庫などを配置するとよい。
艤装岸壁用のクレーンは岸壁が長い場合には、走行クレーンが最も効果的である。最大容量は主機関の吊揚が十分行えること。一般に使用されているものに水平引込クレーンがある。固定式クレーンは旋回半径の範囲内に係留船がとどくことが必要なので、クレーン配置には

 

 

 

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