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係船位置との関係を十分検討することが大切である。
(7) 現図場
現図場は、小型船造船業の特定設備として義務づけられている。現図場の配置は、罫書に使用される型板、定規類の運搬に、また一部の改正や誤作などの緊急の処置が直ちにとれる、加工場の近くがよい。また設計室及び木工所に近いことが望ましい。この指導書の配置の例では加工場の2階を現図場とした。
現図場の大きさは、建造船の最大のものが画ければよいが、長さ方向は図1.12に示す如く船首、船尾を重複させて画けるので、船の全長の1/2+前後の余裕をとる。幅は中央に中央切断図(べ一スラインからワウチョクまで)の高に+余裕をとる。第1.12図(A、B)は500数屯の貨物船を基準とした現図場の広さを示したものである。
B図は建造船が輻輳したときに上下反対方向に重ねて画くか、またラインの色粉を変えて画くと見易い。また色々な船が同時に立てこんで画く場合には床板をベニヤ板とすると、使用後にベニヤ板を分解保存することができるので、同型船を間において作るときなどはこれを再使用できる。
現図作業は、頭脳作業なので設計室と同様に環境は特に注意し採光、風通、暖房などは十分に留意する必要がある。最近の現図場では土足厳禁の造船所もある。現図場の端のスペースには小型の丸鋸、帯鋸を配置し型板作業に便利に配置してある。
(8) 事務所
事務所は工場管理の中心となり、対外的な交渉の場ともなるので、能率的、衛生的、かつ機能的であるのが好ましい。事務所の配置は、工場の人口に近く、しかも工場全体を見渡せるような位置にあるのが理想的であるが、小型造船所では敷地が狭い場合が多いので止むを得ず2階を事務所とする例が多い。事務所内には、現場事務所、総務、営業、設計、役員室、応接室、会議室、検査官室、食堂、休憩室などが総合的に配置されている。工場全体の管理機構の中心となるように各部門を集中して連絡を考慮した配置が望ましい。
(9) 動力設備等
造船所の動力設備は、その工場の生産規模に関連して決められるが、一般的にその主なものは次のとおりである。
ア)電力(照明・動力・溶接)
イ)ガス(都市ガスまたはプロパン、酸素、アセチレン)
ウ)空気(圧縮空気)
工)燃料(ガソリン、軽油、重油石炭、コークス)
鋼船建造の場合の動力は、電力が最たるものである。すなわち、クレーン、工作機械、ポ

 

 

 

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