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玄海諸島における静脈物流ネットワークのあり方に関する調査研究報告書

 事業名 玄海諸島における静脈物流ネットワークのあり方に関する調査研究
 団体名 九州運輸振興センター  


4. 行政の意向
(1)現状の問題点
(1)不法投棄について
 玄海諸島では、使用済み自動車などの不法投棄が現在もみられる。特に、海岸が断崖となっている場所では不法投棄されていても発見が困難であり、目下のところ、島民意識の改革を図ることが第一の対策とされている。
 
<ヒアリング意見>
○不法投棄の実態
・昔から、島内の崖下などにはゴミ捨て場所があり、不法投棄が行われてきた。その場所を見たことがあるが、重機も相当な数を擁して回収しないと回収できない量である。不法投棄物は、ブロック、瓦、建築廃材が多い。離島にゴミ捨て場を確保してほしいという要望もある。
使用済自動車や自動二輪車の不法投棄が多い。廃家電はあまり連絡を受けたことはない。そのほか、漁具が不法投棄されていると連絡を受けたことがある。たまたま道の脇に捨てられてあったため判明したが、実際には発見されない場合の方が多いだろう。特に島の周囲の道路は断崖絶壁にあるので崖の上からゴミを捨てればわからない。
 
○島民の意識改革
・島では高齢化が進み、指導協力の依頼をしているが、リサイクルに対する意識は高くはない。島民の意識改革が不可欠である。
 
(2)一般廃棄物の収集・運搬について
 向島では、島民協力のもとで、交代制での資源ゴミ輸送(本土高串港まで)が行われているが、島民意識も変化してきており、現状の方法が将来的に継続できるかどうかが懸念されている。また、特にRORO船による一般廃棄物等の輸送が行われているケースでは、強風等の天候による欠航も多くみられる。
 
<ヒアリング意見>
○島民協力に頼った廃棄物の収集
・島側の住民意識も変化しており、共同作業が以前に比べて苦手になってきた。島民は現在のところ、防波堤事業や道路整備などで行政にはお世話になっているという意識があり、廃棄物の収集運搬は自分たちで行う現状のしくみが成り立っている。しかし、将来的には現状のような島民同士の協力に頼ることも難しくなるかもしれない。
 
○天候による回収日の変更
・RORO船は季節風に弱く、月に1回程度はゴミの収集に行けなくなる。週2回の回収スケジュールを組んでおり次の収集日まで中2日なので、欠航した場合は次回予定日まで回収が延期されることが多い。
 
(3)漂着ゴミについて
 玄海諸島では漂着ゴミが多く、行政においても景観上の観点や船舶航行の安全上の観点から問題視されている。現在は、年数回の収集・輸送・処理が行われており、海洋で回収されたゴミや、漁業関連器具など品目からみて明らかに産業廃棄物であるゴミは産業廃棄物として処理される。これらの処理の際は「離島漁業再生支援交付金」等が活用されており、補助金が無くなった場合の対応などが不安視される。また、すでに離島では高齢化が進んでおり、場所によっては島民による収集が困難な状況も発生し問題となっている。処理に際し、一部の島では排出量を削減するために、分別処理を進めてリサイクルを促進する取り組みがみられる。
 
<ヒアリング意見>
○漂着ゴミの増加
・唐津市は玄海の北側に位置することから「海外」からの漂流物に苦慮している。離島沿岸域全般に漂着することからその回収等には、陸上からの回収が困難な場所への漂着が多く、船舶等の使用により多額の経費が必要となっている。また、河川改修が進むにつれ上流域からの廃棄物の海への流入は少なくなったものの依然として多く、その処理が産業廃棄物処理を義務付けられることで費用が多額になっている。
・漂着ゴミは景観上の問題に加え、材木などは船舶と衝突すると影響を与えてしまうという問題がある。
 
○補助金活用に依存した漂着ゴミの処理
・漂着ゴミの処理に非常に困っている。養殖に利用する発泡スチロールの大きなものなどは、国の補助事業を使って処分しているようであり、非常に助かっている。
・漂着ゴミの処理や島内清掃は、対象の離島では以下の事業を活用していると思われる。
*離島漁業再生支援交付金事業(2005〜2010):対象4島(馬渡島、向島、加唐島、小川島)
*唐津市島づくり事業:対象7島
高齢化が進む離島住民の協力にも体力的に制限(限界)が感じられる。
 
○リサイクル処理の促進による処理量の削減
・再生処理が可能なゴミは再生処理業者に持ち込むなど、なんとか工夫して処理量を削減するようにしている。
 
表5-4-1  離島漁業再生支援交付金における漂着ゴミの輸送・処理に該当する使用方法別の交付金額(2006年度予定額)
使用方法 馬渡島 向島 加唐島 小川島
海岸清掃 815千円 250千円 193千円 848千円
海底清掃 0千円 0千円 384千円 262千円
資料)唐津市ホームページ
 
(4)漁協の経営について
 漁船の大型化等に伴い、漁協の代船業務の必要性が低下している。また、漁業の縮小等もあり、漁協の経営改善策が必要とされている。
 
<ヒアリング意見>
○漁協の経営改善策が必要
・漁業関連の廃棄物は、海面養殖用のいかだに付けるフロートとして利用する発泡スチロールが大量に廃棄されるようで、産廃処理するために本土輸送が必要となる。これは、離島の漁業支援補助金を活用して、頻繁にチャーター船を活用しているようである。
・漁獲物を集約して運搬(出荷)する代船業務を漁協経営の中で行っているが、漁船の大型化で自力運搬が可能となり、漁協の経営が困難となっている。物流全体のなかでの経営改善策が必要。
 
(2)今後の方向性
 まずは、島民の廃棄物の分別収集や不法投棄防止などに対する理解を深めてもらうために、多様な世代の住民が集まる機会を利用して、継続的な情報提供を行っていくことが必要とされている。また、観光振興を図る取り組みがみられることから、これらと併行して具体的な活動を実施していくことが効果的と考えられている。
 一般廃棄物やリサイクル財の収集・運搬は、各島と本土との輸送距離が近い点や本土側の収集・運搬体制を考慮すると、現状の旧市町村単位で行う体制が適切であると考えられている。
 
<ヒアリング意見>
○分別収集に対する住民の意識啓発を図るため継続的な対応が必要
・当支所の行政区の中で、離島は分別や排出の仕方が一番悪い。以前、全島の一斉清掃の日に行政職員が島へ行き、分別収集の勉強会を行ったが、数ヶ月後にはもとの状態に戻ってしまった。また、数日前にも高齢者が集まる場に、分別の話をしに行ったりはしているが、なかなか効果が出てこない。しかし、勉強会をやめると忘れられてしまうので、高齢者、PTA、婦人会などを対象に積み重ねていくしかないだろう。
 
○観光振興と併せた不法投棄防止や漂着ゴミ対策の推進
・離島の観光振興を促進するため、NPOが中心となって取り組んでいる。今後、NPOがアイデアを出し、それを行政が支援していきたい。観光促進の観点から、ゴミ対策が必要とされる可能性がある。
 
○旧町村単位での輸送体制が適当
・一般廃棄物・リサイクル財(一部し尿)の収集・運搬は合併前の体制を維持しており、最も効率的であることから、今後も継続予定。
・本土側の陸送方法の効率化は、これ以上は考えにくい。島内収集についても、住民にとって家からステーションが遠いのは不便であり、現状が適当と考える。
・離島のゴミの収集には、海上輸送のコストがかかる。また、気象条件が悪くて思うように運べない時もある。これらを除けば本土と同様の収集体制がとれている。
 
5. 廃棄物処理・リサイクル関連事業者の意向
(1)産業廃棄物処理事業者
(1)産業廃棄物処理業にかかる許可取得状況
 アンケートに回答のあった事業者の産業廃棄物処理業にかかる許可取得状況は表5-5-1のとおりである。収集・運搬業(積保除く)は17品目、収集・運搬業(積保含む)は7品目について許可が取得されている。また、中間処理は汚泥、廃プラスチック類、木くず、動植物性残さ、がれき類の5品目、最終処分は廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラス・陶磁器くず等、がれき類の5品目について許可が取得されている。
 
表5-5-1 産業廃棄物処理業にかかる許可取得状況
単位)社
 
(2)玄海諸島からの廃棄物・リサイクル財の取扱状況
a)廃棄物・リサイクル財の取扱実績
 回答のあった事業者のうち、玄海諸島から廃棄物やリサイクル財の処理を受け入れた実績があるのは1社のみで、馬渡島、小川島、松島からいずれもがれき類を引き取り、自社で破砕・再生処理後、佐賀県内で販売している。
 
表5-5-2 玄海諸島からの廃棄物・リサイクル財の取扱実績
受入先 品目 2005年
年間処理量
処理内容 処理後の搬出先 処理料金
馬渡島 がれき類 52トン 破砕・再生 販売(佐賀県) 1円/kg
小川島 がれき類 10トン 破砕・再生 販売(佐賀県) 1円/kg
松島 がれき類 16トン 破砕・再生 販売(佐賀県) 1円/kg
 
b)玄海諸島から本土への輸送状況
 玄海諸島から排出された廃棄物・リサイクル財の本土への輸送方法は、表5-5-3のとおりである。
 A社では馬渡島、小川島からがれき類を輸送する場合、それぞれ島内収集は輸送事業者に委託し、それをトラックに積載して車両ごとRORO船で名護屋港まで海上輸送し、本土側は再び輸送事業者に委託して自社まで輸送している。また、松島からがれき類を輸送する場合は、島内収集は排出者自身が行い、トラックに積載して車両ごと本土まで海上輸送し、本土側も排出者が輸送している。
 B社では、馬渡島、小川島からがれき類を輸送する場合、自社で島内収集を行い、トラックに積載して車両ごとRORO船で名護屋港まで海上輸送し、本土側も自社で輸送を行っている。
 
表5-5-3 玄海諸島から本土への廃棄物等の輸送状況
事業者 品目 海上輸送ルート 利用船種 荷姿 島側の陸送 本土側の陸送
A社 がれき類 馬渡島港→名護屋港 RORO船 トラックに積載 輸送事業者委託 輸送事業者委託
がれき類 小川島港→名護屋港 RORO船 トラックに積載 輸送事業者委託 輸送事業者委託
がれき類 松島 不明 トラックに積載 排出者 排出者
B社 がれき類 馬渡島港→名護屋港 RORO船 トラックに積載 自社 自社
がれき類 小川島港→名護屋港 RORO船 トラックに積載 自社 自社


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更新日: 2022年5月21日

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