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第4章 平成16年度事業の成果
 平成16年度事業の大きな柱は相手船動静監視システム試作と工場評価を行ない、平成17年度事業で予定されている本システムの実用化に向けた実船装備による海上評価試験の基礎を築くことであった。そのために本システムに関するシステム検討、基本設計、詳細設計、プロトタイプの製作、工場評価試験および実船搭載に関する準備作業をプロジェクトチーム(東京海洋大学・今津教授の指導のもとメーカ3社で結成)全体として、あるいはチーム内の各担当として実施して以下の様な成果が得られた。
 
4-1 平成16年度主要実施項目
(1)システム検討および基礎調査
 AISの運用状況の現状調査(古野電気)、レーダ映像を景観画像に対応させるための座標系変換の試行(古野電気)、カメラ仕様の決定(撮影実験を含む:トキメック)などの基礎調査結果を基に、システムの設計方針に関する妥当性などの検証およびシステム設計に関する上記基礎資料の検証などを行なった。・・・(プロジェクトチーム:メーカ3社および東京海洋大学今津教授)
 
(2)システム設計に関する検証
 システム設計に関し、システム全般やシステム各部の設計方針に関する妥当性などの検証を実施した。・・・(メーカ3社および東京海洋大学今津教授)
 
(3)プロトタイプの試作
 上記(1)項および(2)項によるシステム設計に則り各部試作を行ない、これを完了させた。
・カメラおよびカメラ制御部の試作を完了した。・・・(トキメック)
・上記以外の相手船動静監視システムの試作を完了した。・・・(古野電気)
 
(4)動作評価
 完成したプロトタイプに関して以下の各評価試験を実施した。
・プロトタイプの工場評価試験を実施した。
・古野電気(株)所有の実験艇による海上動作テストを実施した。(平成16年度事業のオプションとして)・・・(メーカ3社と東京海洋大学今津教授)
 
(5)平成16年度事業成果報告書の作成
 (3)項の各種動作試験の結果も含め平成16年度事業成果報告書を作成した。・・・(日本無線)
 
(6)実船搭載事前打合せおよび準備
 平成17年度の「さんふらわあ とまこまい」殿による相手船動静監視システムプロトタイプ船上評価試験のために実船装備に関する準備を行なった。
・メーカ間の準備打合せ・・・(メーカ3社)
・船主殿およびドックとの搭載に関する打合せ・・・(古野電気主体、各メーカ)
・実船搭載のための基礎工材の装備完了・・・(古野電気主体)
 
(7)評価委員会に対する平成16年度の中間報告
 日本舶用工業会の技術開発評価委員会殿に対し、中間報告用説明資料を基に平成16年度事業の中間報告を行なった。(2004年10月4日)
 
4-2 相手船動静監視システムの試作と工場評価
 平成16年度事業として実施された項目は4-1項にて紹介したが、その中でも成果として大きなものは相手船動静監視システムの試作を完成させた事と、実験艇搭載を含めた工場評価試験にてその基本性能を確認した事であった。
 以下、その成果内容を簡単に紹介する。
 
4-2-1 相手船動静監視システム試作機
 P25は第3章で述べた基本仕様を基に4-1項の(1)から(3)の過程を経て試作された相手船動静監視システムの構成写真である。
 
4-2-2 試作機の評価
(A)評価内容
 第3章の基本仕様を基に以下の点すなわち
・ユーティリティ(機能、性能面等)の確認
−簡易シミュレータ(レーダ、AIS、航行環境表示等)によるOZT計算精度等を含んだ動作確認および機能、性能確認。
−小型実験艇搭載によるOZT計算および表示を含んだ一般動作テストの実施(平成16年度事業のオプションとして)
・ユーザビリティ(使い勝手)の確認
−関係者によるシステム全般に関する主観的評価
 以上を確認するための評価手順書(参照)に従い評価を実施した。
(B)工場評価結果
 評価手順書に従った工場評価結果チェックリストとしてP28が得られた。この結果、カメラ部の動揺修正機能や主レーダに対する各種制御などの実船搭載時における確認事項を除いてほぼ所定の所期設計目標が実現されている事を確認。
 
 また、簡易シミュレータによる動作確認により、OZT計算に関して所期計算精度等の目標が実現されている事を確認。(参照
 
 さらに、小型実験艇における一般動作確認により相手船に対するOZT計算および表示の妥当性ならびにその他一般動作の確認を完了した。(参照
 


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