本事業では第2章で概略を紹介した東京海洋大学今津教授による目標情報の統合と提供に関する提案をプロトタイプとして実現するために、相手船動静監視システムの設計を行なった。システム設計の基本イメージを次ページに示す。

　次ページに示す様に本システムの表示部の表示イメージは、ブリッジから見た景観を基本として、PPIレーダ映像およびそれに付随して表示されていたARPAシンボル／ベクトル、さらにAISからの相手船情報に関して、それぞれが持つ異なる座標系を景観の画像に合わせるように変換し、それらを統合表示するものである。また、AISやARPA情報と自船の航行状況から今津教授の提案による衝突危険エリアすなわちOZTを計算して統合表示されたレーダ映像上に重畳表示し、さらに相手船や相手船との衝突危険エリアなどの位置情報等が適時画面から得られるように方位や距離マーカなどを画面内に適切に表示するものである。

　

　上記設計構想を実現するための本システムのブロック、ダイアグラムをP19に示す。本システムでは船首方向を中心にして広範囲な前方監視が可能となるように表示画面を3画面とした。これに合わせて船首方向、左舷側、右舷側の景観画像を得るために、船の動揺を補正するための動揺修正装置付のカメラ3台を持つ。また、レーダ／ARPA、AISからの信号を取り込んで景観画像の画角範囲において景観画像に対応する座標にこれら情報を変換し、景観画像とともに統合表示するための3つのコンピュータを持つ。さらに、実航海において本システムを搭載した船舶に関する航行データ、すなわち景観画像、レーダ画像、ARPA情報、AIS情報、自船の位置、速度、船首方位、時刻などを記録するために2台のコンピュータを持つ。さらに、景観画像やレーダ映像などの大容量のデータを実時間でシステム内の所定の各処理部や各記録部などに配信するために高速ネットワークシステムを構築し情報の統合化を実現している。

　

　なお、設計された相手船動静監視システムに関する基本仕様のうち、基本機能の一覧をP20に示す。

　

　また、目標としたシステム各部の設計上の性能をP21に示す。

　

　

　

　

（1）画面サイズ

（2）表示周期（リアルタイム時）

（3）カメラのキャプチャサイズ

（4）レーダのRθ表示角

（5）表示レンジ

（6）ARPA追尾隻数

（7）AISターゲット数

（8）OZT演算点数

（9）ARPAとAISの融合条件（任意設定）

（10）収録問隔

（11）PC間の時刻同期

（12）ネットワークハードディスク

（13）AIS

（14）GPS