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5.4 二液性塗料の塗装手段の開発研究
5.4.1 VOC低減型二液塗装機の改良
(1)平成16年度にVOC低減型二液性塗料対応の可変二液塗装機を製作し、開発されたVOC低減型二液性塗料にて噴霧実験を実施した。
 当初、想定していた塗料粘度を大幅に上回ると共に、混合比率も変更となり、平成16年度に製作した二液塗装機の問題点、及び改造項目をまとめ平成17年7月末の完成目標として製作手配を行った。問題点、改良内容を表5.4.1-1に示す。
 
表5.4.1-1 問題点と改良項目
ユニット 問題点 改良内容
主剤、硬化剤塗料タンク 当初塗料粘度の目標値は1500mPa・sであった。しかし、今回開発された塗料粘度は150000mPa・sあり、この粘度では自吸式ポンプの吸い込み能力を大幅に上回り、吸い込み効率が低下し圧送不良が発生する。よって、見掛け塗料粘度を下げる対策として塗料タンク及びサクションホースの加温を行い圧送可能とする。 主剤、硬化剤タンク及びのサクションホースの加温を行う。加温温度は外気温+50℃とする。
塗料ヒータの設置場所変更 主剤、硬化剤タンクを加温するため、温度制御盤をタンクユニットに併設すると、塗料ヒータを二液塗装機に設置するより、タンクユニットに設置したほうが配線等の集約が可能となる。 ポンプユニットに設置してある塗料ヒータを塗料タンクユニットに移動させる。
二液塗装機 当初塗料の混合比率、塗料粘度など定まっておらず、平成16年度7月の時点で塗料の条件は
1、無溶剤
2、粘度=2860mPa・s at 20℃
 10000mPa・s at 5℃
3、混合比率は3.5:1前後
 以上の情報を基に、混合比率が調整可能な可変式二液塗装機とし、高粘度対策として、補助エアモータを使用しポンプレシオを高くしたが、16年度末に塗装テストに提供された塗料は、塗料粘度が150000mPa・s(at5℃)あり試作ポンプではホース内圧力損失が大きく、塗膜形成に必要な微粒化が出来なかった。
ポンプレシオを78:1とし40MPaの圧送圧力を可能とする改造を行う。
又、塗料の混合比率が決り、可変にする必要は無くなったため、構造がシンプルで、高圧、高混合比率にする事が可能な固定方式の二液塗装機を新規製作する事とする。
タンクユニットの台車改造 タンクユニットに温度制御用コントローラ、塗料ヒータを増設するため、重量の増加等安定性に欠ける。 車輪を台車のサイドに設置しワイドトレッド、及び重心を下げる
高圧塗料 圧送圧力が40MPaと超高圧力になるため、塗料ホースの40MPa耐圧が必要となる 耐圧50MPaの塗料ホースを手配
循環用塗料切り替バルブ 一次試作で製作した塗料循環用切替バルブは、動作の安定性に問題があった。 3方弁方式にし、安定性を図る。
エアラップアタッチメント 予定した塗着効率が得られなかった。 ノズルチップ直近にエア吐出口を設ける。
 
(2)VOC低減型塗料性状の確定と新規製作及び改造された二液塗装機
 VOC低減型二液性塗料の性状が混合比率vol比4.05:1に決定し、それにあわせた二液塗装機の仕様を表5.4.1-2に示す。
 
表5.4.1-2 (混合比率:4.05:1)
部位 シリンダ径 ピストン径 ストローク長 ポンプ圧力比 最大庄力
エアモータ φ330mm φ45mm 120mm 上昇時78.7:1
下降時77.1:1
42.9MPa
主剤シリンダ φ33.4mm φ23.8mm 120mm
硬化剤シリンダ φ23.2mm φ16.7mm 120mm
*エアモータヘの最大コンプレッサエア圧力は0.55MPaとする。
 
(3)改造した二液塗装機を写真5.4.2-1〜5.4.2-4に示す。
 
写真5.4.1-1 加温式塗料タンクと台車
 
写真5.4.1-2 加温式サクションホース。
 
写真5.4.1-3 混合比率固定式二液塗装機
 
写真5.4.1.-4 エアラップアタッチメント


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