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5.3.6 エアレスポンプの流量変化
 二液塗装機において連続して混合比率を確保する事は極めて重要事項であるが、ポンプの往復運動を行う復動式ポンプにおいて、ピストンの折り返し点での吐出不安定領域における吐出量、若しくは時間の把握が重要となる。そこで、折り返し点での流量変化を調査し折り返し時の吐出量にバラツキが生じても、硬化不良が発生しないような対策を行うための資料とする。
 エアレスポンプの折り返し点(上、下死点)での切替時のA液とB液の流量変化を測定した。
 測定結果より、測定点701ポイントでポンプの切替時に流量バランスが崩れ始めA液、B液の流量が安定する測定点1201ポイント付近で安定するまでに0.5秒掛かっている。下図に流量変動波形を図5.3.6-1に示す。
 よって、スタティックミキサの前に多点投入方式のプレミキサ方式を採用し分配機能を高める。
 
図5.3.6-1 流量変動波形
 
5.3.7 試作機の内容
(a)可変式二液塗装機
 近似直線リンク機構により硬化剤用塗料シリンダと主剤用塗料シリンダと、それを駆動するエアモータとポンプレシオを上げる為の補助エアシリンダとノズルの詰まり対策の塗料フイルタと異常圧力検知する隔膜式接点付圧力計を組み付けた可変式二液塗装を試作した。
 
写真5.3.7-1
 
(b)塗料タンクユニット
 主剤80λ、硬化剤40λの塗料タンクとレベル検出センサ、タンクヘのトランスファポンプと洗浄ポンプ及びそれらを駆動するエア盤を設けた。
 
写真5.3.7-2
 
(c)二液塗装用制御盤
 主剤、硬化剤用保温ホースの温度コントロール、及び塗料ヒータの電源、塗料タンクの下限検出センサ、及び異常圧力の検出とポンプ停止などの制御を行う。
 
写真5.3.7-3
 
(d)塗料ヒーティングホース
 インライン塗料ヒータで加温した塗料を圧送途中で温度低下させないよう、塗料ホースの加温を行う。
主剤:3/8×25m 硬化剤:1/4×25m
 
写真5.3.7-4
 
(e)混合ユニット
 エアレスポンプの上、下死点の切替時に発生する主剤、硬化剤の流量変化に対応する為、流量復帰(圧力復帰)までに発生する時間差を吸収するため、多点投入機構を付加すると共に、小形化を図るスタティックミキサをU字型に構成した混合ユニット。
 
写真5.3.7-5
 
(f)切替バルブ
 加温した塗料の温度低下を防ぐため、ポンプ−切替バルブ間の塗料を常時に循環させ、塗装時は循環からガンヘ塗料を供給するため塗料経路を切り替える為のバルブ。
 
写真5.3.7-6
 
(g)ポールガン
 塗装面までの距離が遠い場合適正塗装距離を確保する為スプレイガンの長さを長くして塗装が出来るようにしたスプレイガン(1.5m)
 
写真5.3.7-7
 
(h)エアラップアタッチメント
 ノズル後方の周りよりエアを噴出させ、微粒化された塗料粒子の飛行を補助し、塗着効率を向上させるエアラップアタッチメント。
 
写真5.3.7-8
 
5.3.8 試作機の外観及びユニットに関する評価
 平成16年12月に行われた委員会で各委員による試作機の検証を行い以下の意見を得た。
 これらの意見は試作機の改良時に考慮する。
(1)ヒーティングホース、保温ホース、シンナホース及びエアホースを束ねるとφ70mm近くなり造船所では使用出来ないのではないか。
(2)可変式二液塗装機が大き過ぎる。
(3)本当にヒーティングホースが必要か。
(4)塗料タンクユニットをもっと小さく出来ないか。


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