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4.1.3 樹脂の改良検討
(1)自己乳化型アルキッド系(WB002系)での検討
 WB002の(1)親水成分であるノニオン成分を減らし、(2)酸成分変更、(3)アクリル変性、(4)アクリル変性品に架橋成分を追加したサンプルを合成した。
 
(1)ノニオン成分量の検討
 耐水性を上げるため親水成分であるノニオン成分を減らした検討を行なった。サンプル内容と一般特性値を表4.1-7に示した。
 
(樹脂系統図)
 
表4.1-7  自己乳化型アルキッド系の樹脂内容、一般特性値、樹脂単独での塗膜硬度、耐水性評価
品名 WB002 WB002系
試作品15 試作品16 試作品17 試作品18 試作品19 試作品20
油長 35 35 15 15 15 15 15
加熱残分
(%)
37.9 34.0 32.0 30.2 31.1 26.5 31.5
粘度
(mPas)
9,000 7,800 900 7,100 5,640 4,260 140
酸価 6.1 7.4 8.9 7.6 8 8.6 8.0
pH 7.3 7.2 7.5 7.4 7.4 7.0 7.3
乾燥性
4日後
鉛筆
硬度
6B< 6B< 3B 3B 3B 3B 3B
タック べたつき
耐水性 白化 × ×× ×× ×× ××
鉛筆
硬度
6B< 6B< 6B< 6B< 6B< 6B< 6B<
(表中の評価基準:良好○>○△>△>△×>×>××不良)
[試験条件]
(1)乾燥条件:23℃で3日
(2)ガラス板にアプリケータ(250μm)で塗装
(3)耐水性(23℃)
 
 ノニオン成分を減らすことにより乾燥後の硬度は良くなる傾向にあるが、浸漬後の硬度に差が見られなかった。また、ノニオン成分が少ない系では、耐水白化性が悪くなる傾向にあった。樹脂の溶解性が低下するため白化しやすいと考える。
 
(2)アニオン成分へ変更、アクリル変性系での検討
 樹脂の親水性が影響し、耐水性で軟化していると考え、水分散に付与している親水性のノニオン成分をアニオン成分に変更、アクリル変性の検討を行なった結果を表4.1-8に示す。
 
表4.1-8  アニオン成分、アクリル変性系での樹脂内容、一般特性値、樹脂単独での塗膜硬度、耐水性評価
品名 WB002 WB002系
試作品21 試作品22 試作品23 試作品24 試作品25
内容 油長35 アニオン成分へ変更 アニオン成分へ変更 アクリル
変性
アクリル
比率増
架橋成分
導入
アルキッド
/アクリル
- - - 8/2 6/4 8/2
油長 35 35 15 28 21 28
加熱残分
(%)
37.9 33.8 30.9 39.2 41.6 合成中
ゲル化
粘度
(mPas)
9,000 8,400 5,000 7,760 1,000
酸価 6.1 14.4 13.7 14.5 14.8
pH 7.3 8.9 7.0 8.2 8.8
備考 - 樹脂分離 - - -
乾燥性
4日後
鉛筆
硬度
6B< - 6B< 6B< 6B< -
タック べたつき - -
耐水性 白化 × - ×× △× △× -
鉛筆
硬度
6B< - 6B< 6B< 6B< -
(良好)○>○△>△>△×>×>××(不良)
[試験条件]
(1)乾燥条件:23℃で3日
(2)ガラス板にアプリケータ(250μm)で塗装
(3)耐水性(23℃)
 
 アルキッド樹脂をアクリル変性することにより耐水白化性は、上がる傾向にあった。一方、酸成分を変更をすると耐水白化性は低下する傾向にあった。耐水浸漬後の硬度変化は、見られなかった。
 
(2)アクリル変性タイプ(アルキッド系、エポキシ系)での検討
 親水成分が少なく、エステル結合が少ないアクリル樹脂で変性することにより樹脂硬度アップ及び耐海水性改良を行った。合成したサンプル内容と一般特性値を表4.1-9に示した。
 
表4.1-9  他アクリル変性樹脂系での樹脂内容、一般特性値、樹脂単独での塗膜硬度、耐水性評価
品名 WB002 試作品26 試作品27 試作品28 試作品29
内容 自己乳化型
アルキッド
アクリル変性
アルキッド
(ノニオン成分無)
アクリル変性
エポキシエステル
試作品23のアクリル増 アクリル変性エポキシ
加熱残分
(%)
37.9 39.9 38.2 35.9 33.2
粘度
(mPas)
9,000 5,600 640 6,000 8,000
酸価 6.1 14.8 14.7 13.5 12.7
pH 7.3 7.5 8.0 8.5 7.9
乾燥性
4日後
鉛筆
硬度
6B< 4B 6B< 4B 塗膜
クラック
タック べたつき -
耐水性 白化 × × × △× -
鉛筆
硬度
6B< 6B< 6B< 6B< -
(良好)○>○△>△>△×>×>××(不良)
[試験条件]
(1)乾燥条件:23℃で3日
(2)ガラス板にアプリケータ(250μm)で塗装
(3)耐水性(23℃)
 
 ノニオン成分がないアクリル変性アルキッド、アクリル変性エポキシエステル、アクリル変性エポキシ等の他のアクリル変性タイプについても検討を行なったが、乾燥後の硬度は向上するが、耐水性試験後の硬度のおいては差が見られなかった。アクリル変性エポキシ樹脂については、乾燥後に塗膜にクラックが発生したため検討を中止した。


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