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(2)自己乳化型アルキド樹脂系での検討結果
 乾燥性、塗膜硬度、耐海水性(軟化)向上のため(1)溶剤種変更(2)溶剤量減(乾燥性向上)(3)pH(4)酸価アップ(5)分子量アップ(6)油長減を検討したが、樹脂単独で硬度の向上がみられるが耐水浸漬後に軟化する傾向にあった。
 
<WB002(自己乳化型アルキド樹脂)>
(1)溶剤
3-メチル-3-メトキシブタノール:7
t-ブチルセロソルブ:2
(2)pH 7.3
(3)酸価(固形分) 16
(4)重量平均分子量 16,800
(5)油長 35
(6)ノニオン成分
 
 原因を調査するために樹脂単独での硬度、耐水性、吸水率を測定した。
 
表4.1-6(a)樹脂単独での塗膜硬度、耐水性評価
(1)ガラス板に樹脂をそのまま塗装:アプリケータ250μm
(2)耐水性(室温)
(3)WB002ドライヤ
(a)WB002 20g
(b)Dicnate3111(大日本インキ社製Co系ドライヤ)/水=75/25 0.53g
 
(表中の評価基準:良好○>○△>△>△×>×>××不良)
 
 樹脂の油長を減らすことにより樹脂の硬度は上がる傾向にあるが、浸漬後の硬度に変化がなかった。樹脂の親水性が高いため樹脂が吸水し、膨潤したため軟化したと考える。また、塗膜の初期硬度及び乾燥後の硬度が低いため、さらに硬度の改良が必要である。
 
表4.1-6(b)油長の差による硬度の経日変化
*塗装:(1)アプリケータ7.6μm(0.3ミル)
(2)アプリケータ250μm
 
 樹脂そのものの硬度不足と樹脂の親水性が高いため樹脂が吸水し、膨潤したため軟化したと考え、以下の改良を行なった。
 
<改良方針>
(1)ノニオン成分減 (樹脂の親水性成分減)
(2)ノニオンをアニオンに変更(樹脂の親水性成分変更)
 
(3)アクリル変性(樹脂硬度アップ、エステル結合減)
(4)アクリル変性+架橋成分追加(樹脂硬度アップ、エステル結合減)
(5)アクリルエマルション(樹脂硬度アップ、エステル結合減)
 
(6)補助架橋(酸化重合、オキサゾリン他)(架橋により水の浸入を防ぐ)
→樹脂単独で効果はあるが顔料添加系では効果低い
 
 酸化重合による補助架橋について検討したが、PVC50%以上のため樹脂単独では改善の傾向が見られたが、塗料での効果が得られなかった。


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