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4.1.2 防汚塗料用樹脂の開発
(1)WB002(自己乳化型アルキッド系)での検討
 WB002を用い防汚塗料としての塗膜物性(造膜性、乾燥性、耐海水性、塗膜硬度)、塗料物性(分散性、貯蔵安定性)、防汚性(海水浸漬試験、銅の溶出試験)の試験を行った。その結果、WB002試作品(自己乳化型アルキッド樹脂)は6ヶ月の静置防汚性は良好であるが、乾燥性、塗膜硬度、耐海水性(塗膜軟化)に劣っていた。そこで、低VOCを維持したまま、乾燥性、塗膜硬度、耐海水性等を向上させる検討を行った。具体的には、(1)溶剤変更(3-メチル3-メトキシブタノール/t-ブチルセロソルブ混合溶剤系)(a)ブタノール(b)イソプロピルセロソルブ(c)t-ブチルセロソルブ(2)溶剤量半分(3)pH変更(4)酸価アップ(5)分子量アップの影響を検討を行なった(表4.1-3、4)。
 
 
表4.1-3 乾燥性、塗膜硬度、耐海水性改良検討
(溶剤変更、溶剤量半分、pH変更)
(拡大画面:83KB)
*
分散性、塗膜外観試験方法
・塗料配合;樹脂/Cu2O/ガラスビーズ=20/40/40
・分散:ペイントシェーカ 90分
・塗装:15〜20μm(バーコータ塗装)
・0.3ミルアプリケータで塗装、23℃、湿度63%
 
表4-1-4  乾燥性、塗膜硬度、耐海水性改良検討(酸価アップ、分子量アップ)
(拡大画面:71KB)
(*1)塗料配合:樹脂/亜酸化銅/ガラスビーズ=20/40/40
(*2)分散方法:ペイントシェーカ 90分
(*3)塗装方法:15〜20μm(バーコータ塗装)
 
 WB002(自己乳化型アルキッド樹脂)系の樹脂を用い防汚塗料として塗膜物性(造膜性、乾燥性、耐海水性、塗膜硬度)、塗料物性(分散性、貯蔵安定性)、防汚性(海水浸漬試験、銅の溶出試験)の試験を行った。
 WB002(自己乳化型アルキッド樹脂)系樹脂の造膜性、分散性、貯蔵安定性は、概ね良好な結果が得られた。また、防汚性(海水浸漬試験、銅の溶出試験)は現行錫振フリー防汚塗料と同程度であった。しかし、乾燥性は酸価を高くした試作品7においてやや改良が認められたが、実用レベルには達しなかった。また、いずれも塗膜硬度が低く、耐海水性試験においても、没水後の軟化が認められ、これらの物性の改良が必要であることがわかった(表4.1-3、4)。
 上記検討の結果、耐海水性後の塗膜軟化を防ぎ、塗膜硬度を向上させるには、樹脂骨格の高Tg化が必要と考え、樹脂中の軟質成分である脂肪酸の量(油長)を少なく、硬質成分を増やす検討を行った。その結果、樹脂単独での乾燥性、塗膜硬度が向上することがわかった(表4.1-5)。
 
表4.1-5 塗膜硬度、耐海水性改良検討
(*1)塗装:樹脂を0.3ミルアプリケータでそのままガラス版に塗装。
(*2)分散性、塗膜外観試験方法:
(1)塗料配合;樹脂/Cu2O/ガラスビーズ=20/40/40
(2)分散:ペイントシェーカ 90分
(3)塗装:15〜20μm(バーコータ塗装)


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