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2.3 性能の調査
2.3.1 塗膜耐久性の調査
 塗膜耐久性の調査は1)乾湿交番試験及び、2)塩水噴霧試験の両者を行った。
 
(1)16年度試験
(a)試験片の準備
 試験片として作成したものは防食用塗料10種類であり、以下の通りである。
A: 基礎樹脂開発塗料(S-14)
B: 基礎樹脂開発塗料(S-15)
C: 現用樹脂無溶剤系開発塗料(No.1)
D: 現用樹脂無溶剤系開発塗料(No.2)
E: 現用樹脂無溶剤系塗料(No.1)
F: 現用樹脂無溶剤系塗料(No.2)
G: 現用樹脂無溶剤系塗料(No.3)
H: 現用ハイソリッド系塗料(No.1)
I: 現用溶剤系塗料(No.1)
J: 現用溶剤系塗料(No.2)
 
 これらの塗料を塗装した試験片(図2.3.1-1参照)は、SS400(150×60×2.3mm)に(イ)ショットブラストに塗装したもの及び、(ロ)ショットブラスト+無機ジンクショッププライマー処理して塗装した2種類である。図2.3.1-1は塗装試験片の例である。
 
図2.3.1-1 塗装試験片の例
 
図2.3.1-2 塗装試験片と膜厚測定箇所
 
 塗装試験片の塗装膜厚は、図2.3.1-2に示した5点の測定を行った。これらは電磁膜厚計によって調べた。膜厚の平均は240〜330ミクロンであり、300ミクロン前後が最も多い。
 
(b)乾湿交番試験
 乾湿交番試験装置は浸漬タンク容量200L、循環タンク容量80Lの両タンク間が循環ポンプによりシリンジフィルター(#40)を介して塩水を循環させる。浸漬タンクには試験片群を上下させる機構があり、乾燥と浸漬は一定時間間隔で繰り返す。
 試験条件は以下の通りである。
・塩水温度:40℃、 ・塩分濃度:30±3g/L
・pH: 6.5〜7.2、 ・温風温度:40℃
・交番サイクル:浸漬6時間、乾燥6時間のサイクル
 
 塩水管理はpH計及び塩分濃度計等を用いて平日毎2回行い、その調整に努めている。液温が40℃と高いことから、液の減水が激しい。およそ6L/day以上の真水は水道水をイオン交換フィルターで介して自動補充している。
 図2.3.1-3は期間3ヶ月の試験片配置を示したものである。液の流れ及び水深による各塗料種の平均を図るため、同種類塗装試験片は上下左右に分散させた。
 
図2.3.1-3 3ヶ月乾湿交番試験の試験片配置写真
 
 試験片群は前後2面式でセットする方式を取っており、1面は5列8行で40試料配置(図2.3.1-3)できる。もう1面の後面には6ヶ月試験用の試料が配置されている。
 目視試験は、ASTMに準拠して調べた。
 
(c)塩水噴霧試験
 塩水噴霧試験は、JISK5600-7-1に準拠した。主要な試験条件は次に示す。
・試験溶液:塩分濃度(50±5g/L)、pH(6.5〜7.2/25℃)
・試験漕内:温度(35±2℃)
・試験片設置:傾斜角度(45度)
 
 図2.3.1-4における試験片は3ヶ月期間の塩水噴霧試験のためのものであるが、試験片はN1で行うことになった。性能評価のための付着力試験では、測定は2点である。N数の低下は、乾湿交番試験と同様に、塗料種が増加させたことによる。図2.2.9は塩水噴霧漕内に配置した試験片の写真である。
 
図2.3.1-4 塩水噴霧漕内に配置した試験片の写真
 
(d)乾湿交番試験の評価
 乾湿交番3及び6ヶ月試験後における試験片は、膜厚測定の結果では試験前と比べて変化が見られなかった。目視試験は試験片視野における膨れ、剥離及び錆に対して、面積率、寸法及び密集度を調べた。初期値は各10点、8点及び8点の計26点となる。試験後は数枚の試料おいて、何らかの僅かな点が見られたが、評価点では満点となり、塗膜の劣化は見られなかった。


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