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4.5 計測用車いすによる駆動力の計測
(1)計測に使用した車いすシステム
 本実験で設定した段差高・隙間幅の組み合わせは72通りあり、これらすべてについて、計測用車いすによって通過するのに必要な駆動力を計測した。駆動力の計測には、図4-13の計測用車いすを用いる。この車いすは駆動輪ハブ部にトルク変換器((株)共和電業製TPR-S-100NMS22)およびロータリエンコーダ((株)小野測器製)が取り付けられており、ハンドリムによって駆動輪に加えられる駆動力と駆動輪回転数を計測することができる。
 
図4-13 計測用車いすシステム
 
表4-10 手動車いすによる検証(被験者G)
隙間幅 mm
0 10 20 30 40 50 60 70 80
段差高 mm 0
5
10
15
20
30
40
50
 
表4-11 手動車いすによる検証(被験者H)
隙間幅 mm
0 10 20 30 40 50 60 70 80
段差高 mm 0
5
10
15
20
30
40
50
 
表4-12 手動車いすによる検証(被験者I)
隙間幅 mm
0 10 20 30 40 50 60 70 80
段差高 mm 0
5
10
15
20
30
40
50
 
表4-13 手動車いすによる検証(被験者J)
隙間幅 mm
0 10 20 30 40 50 60 70 80
段差高 mm 0
5
10
15
20
30 × × × × ×
40 × × × × × × × × ×
50 × × × × × × × × ×
 
表4-14 手動車いすによる検証(被験者K)
隙間幅 mm
0 10 20 30 40 50 60 70 80
段差高 mm 0
5
10
15
20
30
40
50
 
表4-15 手動車いすによる検証(被験者L)
隙間幅 mm
0 10 20 30 40 50 60 70 80
段差高 mm 0
5
10
15
20
30
40
50
 
 なお、計測用車いすの重量は245Nである。また、キャスター径は呼び径5インチ(実寸130mm)、駆動輪径は呼び径24インチ(実寸600mm)である。
 
(2)操作条件および被験者
 計測用車いすによる通過実験は、操作方法による駆動力の違いを除去するために、段差・隙間を通過するにあたっては、ウィリーは行わず、また、助走はしないという操作条件とした。すなわち、キャスターおよび駆動輪で段差を越える際は、その直前で一旦停止して、ハンドリムには瞬発力ではなくゆっくり力を加える操作方法とした。
 計測用車いすによる通過実験の被験者は男性健常者(57歳)であり、体重は673Nである。被験者が計測用車いすに搭乗したときの前輪荷重は326N、後輪荷重は592N、総重量は918Nであった。
 なお、計測用車いすでの通過実験においては、各段差高・隙間幅条件につき3回の試行を行った。
 
(3)駆動力計測結果
 計測用車いすによる通過実験のデータ例を図4-14、図4-15に示す。これらは、それぞれ段差高15mm・隙間幅20mm、段差高30mm・隙間幅50mmを通過したときのデータ例である。今回の実験では、実際の鉄道車両で使われている沓摺りを用いたので、ホームと列車車両乗降口間の段差段鼻とドアレールによる段差があり、径の小さいキャスターでそれらを通過する際には、それぞれで駆動力ピークが現れる。
 
図4-14 段差高15mm・隙間幅20mmでの駆動力
 
図4-15 段差高30mm・隙間幅50mmでの駆動力


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