6. コモンセンス・ペアレンティング・トレーナー養成講座報告
児童虐待に直接関わる専門職を対象にコモンセンス・ペアレンティングトレーナー養成講座を開催した。なお、第2回・第3回については、神戸少年の町版を用いて研修を行った。
対象を児童虐待に直接関わる専門職45名とし、講座を3回開催した。募集の方法は、全国の児童養護施設(551ヵ所)・児童相談所(177ヶ所)・情緒障害児短期治療施設(19ヵ所)・乳児院(113ヶ所)に専門職講座のパンフレットを送付した。4月の第5週に送付し、受付を開始した。全国から約100件以上の問い合わせと73名の申し込みがあった。なお選考に関しては、児童虐待に直接関わる機関の職員であることを必須とし、職歴と実施計画を参考にした。
3回の専門職講座を以下の日程で行った。会場は神戸少年の町め会議室であった。講座の合間に、神戸少年の町の児童養護施設・乳児院・家庭支援センターの見学を行った。なお、第2回と第3回は神戸少年の町版CSPビデオ教材開発後であったため、神戸少年の町で開発した教材を使用した(米国版教材の配布は行った)。
表6-1 専門職講座の日時
第1回 |
2005年7月5日(火)〜8日(金) |
第2回 |
2006年1月9日(祝)〜12日(木) |
第3回 |
2006年2月2日(木)〜5日(日) |
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アメリカのボーイズタウンにて、CSPのトレーナーの資格を取得しトレーナー養成の許可を持つ神戸少年の町の児童指導員の野口啓示が務めた。
参加費として参加者から1人、15,000円ずつ集めた。参加費に教材費(トレーニング・マニュアル、ビデオ、付属品(カード・修了証・バック)、資料)が含まれた。なお、第2回と第3回の参加者には米国版と神戸少年の町版の二つの教材が配られた。
以下に、参加者の属性を記述する。
参加者の所属機関としては表6-2のとおりである。児童相談所が24名と一番多かった。次に家庭支援専門相談員が配置された児童養護施設の13名であった。
参加者の機関が位置する都道府県の内訳は表6-3のとおりである。
職種に関しては表6-4のとおりである。
職歴に関しては表6-5のとおりである。
親支援や親訓練といった研修への参加の有無を尋ねた(表6-6)。45名中38名が無いと答えた。5名に関しては、マイツリー(エンパワメントセンター)1名、ADHDのペアレント・トレーニング(シンシア・ウイッタム)3名、家族療法のプログラム2名という内訳であった。親支援の必要性に比べて、参加する研修会の少なさが示された。
表6-2 所属機関
児童相談所 |
24名 |
児童養護施設 |
13名 |
保健所 |
2名 |
家庭支援センター |
2名 |
乳児院 |
1名 |
病院 |
1名 |
福祉事務所 |
1名 |
総合福祉センター |
1名 |
合計 |
45名 |
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表6-3 都道府県
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都道府県 |
人数 |
合計 |
北海道
東北 |
北海道 |
1名 |
5名 |
青森県 |
1名 |
福島県 |
1名 |
宮城県 |
2名 |
関東 |
東京都 |
1名 |
7名 |
栃木県 |
1名 |
神奈川県 |
1名 |
千葉県 |
3名 |
群馬県 |
1名 |
信越・北陸 |
新潟県 |
1名 |
5名 |
長野県 |
4名 |
東海 |
静岡県 |
2名 |
3名 |
岐阜県 |
1名 |
近畿 |
三重県 |
1名 |
14名 |
大阪府 |
1名 |
兵庫県 |
8名 |
滋賀県 |
2名 |
和歌山県 |
2名 |
四国 |
徳島県 |
2名 |
3名 |
香川県 |
1名 |
中国 |
岡山県 |
4名 |
7名 |
鳥取県 |
3名 |
九州 |
長崎県 |
1名 |
1名 |
合計 |
45名 |
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表6-4 職種
児童心理司 |
15名 |
児童福祉司 |
7名 |
児童指導員(主任含む) |
5名 |
保育士 |
4名 |
保健師 |
4名 |
家庭支援専門相談員 |
4名 |
心理士 |
2名 |
相談員 |
2名 |
個別対応 |
1名 |
医療ソーシャルワーカー |
1名 |
合計 |
45名 |
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表6-5 職歴
3年未満 |
15名 |
4〜5年 |
4名 |
6〜10年 |
6名 |
11〜15年 |
8名 |
16〜20年 |
4名 |
21年以上 |
8名 |
合計 |
45名 |
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表6-6 親支援や親訓練の研修への参加経験の有無
専門職講座のスケジュールを表6-7に示した(米国版・神戸少年の町版とも同じスケジュールである)。4日間で25時間のトレーニングである。トレーニングは、講義、ロールプレイ、ディスカッション、ビデオによるモデリング、そして宿題から成る5つのアクティビティで構成されており、経験的学習の機会になるようになっている。参加者は講義中も、自由に質問や発言ができるようになっており、受身的な学習にならないように工夫されている。前半の2日間はCSPの理解に当てられており、CSPの講座を実際に受講してもらった。ここでは専門職というより、CSPを受講する父親・母親の役割を取りながら、実際の講義を体験するのが目的である。後半の2日間は、前半に習ったCSPの講座を専門職として運用する方法を講義した。子どもの問題を子どもの行動と親の反応から理解していく行動分析の方法やうまくロールプレイを行う方法を教示するとともに、実際にロールプレイを繰り返し行ってもらい身に付けてもらった。最終日はデモンストレーションとして、模擬セッションを自らがトレーナーとなり、他の参加者を相手に行い修了となった。ロールプレイ、デモンストレーション等、頭で理解するだけなく、実際にやってみる参加型の講義により、実践力を身に付ける講座になっている。
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