日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1996/03/16 産経新聞朝刊
【主張】対中ODAは見直しが必要
 
 日本政府は中台危機を対岸の火事と見ているのではないか。抗議の首相親書ひとつ出さぬ政府の無為無策を改めて問う。日本のすぐ近くで顕在化したこの危機は、中国の武力威嚇の執ようさから見て、今後も東アジアの継続的な緊張要因になるであろう。
 台湾海峡はじめこの地域の平和と安全が保たれていてこそ、経済大国たり得る日本には、あらゆる外交手段を通じて中国の自制を要求する国際的義務があるはずだ。
 ところが、公海上で行われる中国の軍事演習は国際法違反とはいいにくいというのが、日本政府首脳部の見解なのである。軍事演習が台湾総統選挙に照準を合わせた脅しであることを百も承知のうえで、こうした形式論理を繰り返すのなら、それは現実から目をそらしたあまりに無責任な対応である。この局面で手をこまぬいていれば、いずれ同盟国である米国はじめ国際社会の厳しい批判にさらされよう。
 では日本単独で何ができるかといえば手段は限られている。それは中国に対する突出した経済援助国として当然の影響力を行使することだ。現在の対中円借款の在り方、進め方を見直す措置も十分あり得るという意思を先方に明確に伝える以外にないであろう。
 自民党内からも円借款の凍結論が出てきたため、政府は来年度円借款に関する日中実務者協議の先送りを検討中というが、こんなことは当たり前ではないか。
 中国の改革・開放路線を後押しすることがアジアの安定に寄与するという外務省などの戦略論は理解できる。しかし、いわずもがな援助は外交の手段であり、とりわけ日本にとっては外交政策の柱だ。日本が対中援助にまったく手をつけないなら、国際社会で一応存在を認められた一地域の民主的な最高指導者選挙に対する軍事的な脅しまで容認したことになってしまう。
 中国に対する円借款は内諾済みの第四次円借款(九六年度から三年間)の五千八百億円を加えると累計で二兆円を超す。他国とのバランスを欠くこの巨額ODA(政府開発援助)自体にすでに見直し論が出ている。
 何も一気に対中円借款を減らせというのではない。中国が台湾総統選挙前にただちに武力威嚇をやめない場合、第四次円借款の供与を減速したり、援助対象の優先順位を環境案件にしぼることなども考慮すべきである。中国に対して有効な意思表示を一度も行わないまま総統選挙を迎えるようでは話にならない。
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
60位
(28,647成果物中)

成果物アクセス数
155,403

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年3月25日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【ダム建設について】
3.私はこう考える【死刑廃止について】
4.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
5.私はこう考える【天皇制について】
6.私はこう考える【国連について】
7.私はこう考える【自衛隊について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から