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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2001/01/12 毎日新聞朝刊
[社説]新世紀考 アジア 中国の民主化は不可避だ
 
 「千里の目を窮めん(きわめん)と欲して、更に上る一層の楼」という。高みに立てば、遠くを見通すことができる。アジアと日本の軌跡も、21世紀から振り返ると全体像が見える。
 19世紀、アジアは西欧列強の植民地となった。さいわい日本は、明治維新に成功して独立を保ち、近代化へと歩みだした。
 アヘン戦争以来、西欧列強によって半植民地状態となった中国から多くの若者が日本にきた。「国を救うには維新しかない。維新をするには外国に学ばなくてはならない。(略)中国人は、西欧に学んで成果を収めた日本人から学ぼうと思った」(毛沢東「人民民主専制を論ず」)。孫文ら革命家は日本に集まり、宮崎滔天ら日本人と親交を結んだ。
 だが20世紀に入ると、日本の近代化は、軍国主義へと向かった。
 中華民国の初代総統となった孫文は「中国革命は、もともと明治維新と一連のものであり、目的はアジアの復興である。それなのに日本はヨーロッパに追随して中国に危害を加えていいものでしょうか」(犬養毅あて書簡)と諫めた(いさめた)。中国と日本と、そして英国からの独立を目指すインドが手をつなぐべきだという「大アジア主義」を説いた。日本の指導者は耳を貸さず、泥沼の戦争に国民を引きずり込んで自滅した。
 20世紀半ば、日本は「主権在民」、すなわち民主主義を国是として再出発した。敗戦の結果だったが、日本はアジアで最も早く民主主義体制を整え、高度成長を達成した。
 アジア各地の植民地も次々に独立したが、民族主義の高揚の陰で政治は独裁的だった。しかし韓国、タイ、フィリピンなどから徐々に民主化の流れが起きた。
 台湾は、無血で民主化をなしとげたが、インドネシアは独裁体制を倒すために市民の血が流れた。形はさまざまだが、21世紀のアジアは独裁的政治から脱して、民主化と人権尊重へ向かう流れの上にある。
 なかでも、大きな試練が待ち受けているのが中国である。13億の人口と、アジア最大の陸軍と、アジア第2の経済力を持つ中国が、大きな混乱なしに民主化を進めることができるのかどうか。
 ソ連の共産党一党独裁体制は70年余りで崩壊した。中国も共産党支配体制はすでに50年余りを経た。
 1989年の天安門事件では、民主化運動を戦車で鎮圧し、危機を乗り切る一方で、市場主義経済を導入して大衆の欲望を解放した。その結果は、権力を握る共産党員がその毒に感染し、汚職がまん延した。権力の腐敗は、民主化を求める声をまた呼び覚ましている。
 インターネットの普及で、政府による情報統制が難しくなった。民主社会を体験した留学生が外国から帰国して社会の中核を占めるようになると、意識の変化はさらに早まる。政治改革をあまり急げば安定を失うかもしれない。押さえつければ不満が爆発するだろう。どちらにしても中国が混乱すれば、影響はアジア全体に及ぶ。
 中国が試練を乗りこえて民主化を進めれば、21世紀のアジアをリードするのは、日本、中国、インドである。孫文が提唱したこの3カ国の協力は、ますます重要になる。
 
 
 
 
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