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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2000/03/06 毎日新聞朝刊
[社説]朱鎔基演説 対日外交に欲しい大局観
 
 これから中国と手を取りあって「アジアと世界の平和と発展に貢献する友好協力パートナーシップ」を確立していけるだろうか。寒々とした気持ちを禁じ得ない。
 中国の朱鎔基首相が5日、全国人民代表大会(国会)で政府活動報告を行った。今年度の施政方針演説である。
 主要国との外交方針は、米、露、欧、日の順に示されたが、際立ったのは、日本に対する後ろ向きな姿勢である。
 「歴史を鑑(かがみ)にして未来に向かうという精神で、中日両国の指導者が到達した一連の重要な共通認識と取り決めが、実行されている」と述べ、「ごく少数の日本の極右勢力による中日関係の妨害と破壊に警戒しなくてはならない」と結んだ。
 朱首相は年内訪日の予定だ。また「歴史認識」や「過去への謝罪」で振り回されるのだろうか。
 21世紀には、日中がアジアと世界のために手を握り合っていこうと約束した。2年前、江沢民国家主席の訪日で宣言された「友好協力パートナーシップ」である。
 在ユーゴ中国大使館爆撃事件で悪化した対米関係は、米中首脳会談によって「回復し改善した」。ロシアとは「戦略的パートナーシップの内容を充実した」と朱首相は強調した。欧州各国とは「関係発展を推進した」と指摘した。
 なぜ対日関係だけが「極右勢力への警戒」という、大局観に欠けた重箱の隅をつつくような内容なのか。
 「ごく少数の極右勢力」とは、大阪で市民団体が開いた南京大虐殺を否定する集会のことだろうか。これは日本政府の政策ではない。しかも「ごく少数」だと、中国自身認めるところである。
 日本では、政府が市民団体の言論を取り締まることはありえない。日本国憲法前文に明記してある通り、個人の自由を守り民主主義を堅持していくことこそが、過去の戦争に対する痛切な反省の証し(あかし)である。
 日中友好運動を熱心に支えてきた日本人から「疲れた」という声が漏れている。中国から「日本軍国主義の復活」や「台湾をまた植民地にしようという野望」などの非難が出るが、現実とかけ離れているため、若い世代の中国嫌いを加速するだけだ、というのだ。
 いま中国の社会は、世界貿易機関(WTO)への正式加盟を目前にして、黒船来襲を前にしたような不安が高まっている。電機、衣料、造船などすでに国際競争力をつけた産業はともかく、生産性の低い農業や旧式の国有企業が市場開放して外国資本との競争に勝ち残れるのか。
 朱首相は昨年、米国とのWTO加盟交渉で「譲歩しすぎた」と、激しい批判にさらされた。
 中国では、政権を揺さぶるために、反日など排外的で感情的なスローガンが使われることがある。朱首相の提唱する3大改革は、今年が最終年度で、逆風も強いだろう。そんなときに、日中関係がぎくしゃくするのは、日中双方にとって心配なことだ。
 小渕恵三首相は、沖縄の主要国首脳会議(G8)に、中国を加えたい希望だった。今回実現はしなかったが、日本の大多数の国民は、中国を21世紀の重要なパートナーだと見ている。
 朱首相の訪日では「友好協力パートナーシップ」の展望をぜひとも聞きたいものだ。
 
 
 
 
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