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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1999/11/22 毎日新聞朝刊
[社説]日中漁業協議 資源管理の原点にもどれ
 
 国連海洋法条約に基づき、1997年11月に署名された新しい日中漁業協定が、丸2年未発効のままたなざらしになっている。両国の操業範囲や操業条件に関する協議が難航しているためだ。
 その結果、資源管理が不十分な現行漁業協定(75年締結)が存続し、日本の領海12カイリすれすれで中国漁船が操業しているため、漁業資源の枯渇が懸念されている。
 新しい日中漁業協定の締結は、96年に日、中、韓が国連海洋法条約を批准したのがきっかけとなった。
 同条約は、沿岸各国に200カイリ以内の排他的経済水域(EEZ)を設定する権利を認め、EEZ内での生物資源の保護・管理を義務づけている。違反は沿岸国が取り締まる。
 日本は97年から、主要魚種について、国内漁業者に毎年の漁獲数量を制限する漁獲可能量(TAC)制度に移行した。領土問題が絡む日中、日韓間はEEZの線引きができていなかったが、海洋法条約の考え方に沿って先行実施した。
 日中間の新漁業協定も、こうした条約の精神を受けて、乱獲の海といわれた東シナ海、黄海、日本海などに資源の保護・管理を確立するために締結された。
 難問の尖閣諸島周辺は、操業を従来通りとして、巧みに領土問題を避け、その北海域に両国が共同で管理する暫定水域を設け、暫定水域のさらに北側の両国200カイリ線の重複する部分は話し合いで決めることになっていた。
 ところが、最北端海域のEEZ線引きで、自国が自由に操業出来る範囲を両国中間線を越えてできるだけ広く取ろうとする中国側と、資源管理の面からこれを押し戻そうとする日本側の主張が真正面からぶつかっている。
 従ってその南側、暫定水域の漁獲可能量、漁法など操業条件に関する交渉も暗礁に乗り上げ、全体のスキームが動き出せない状態だ。
 中国漁船は暫定水域はもとより、長崎県沖、日本海、三陸、北海道沖まで操業範囲を拡大し、TACで手足を縛られた日本側漁業者の間からは、中国船の乱獲、漁具被害、漁場占拠に対する非難の声が上がっている。
 中国側は、すでに海洋法条約を批准し、その精神を受けて新漁業協定に署名した以上、柔軟に事態を打開する方向に動くべきだ。
 理由の第一は、漁業資源は適切な管理を行わなければ枯渇する有限な天然資源であることだ。
 この海域の資源状態は年々悪化しており、もはや従来通りの操業を維持するには限界がある。日本側が自国の漁獲高の減少を受容しつつTACに踏み切った背景を考えてもらいたい。
 第二に、今の事態が続くと、「中国側は規制のない現行協定が都合がよいのだ」という日本側の不信感がますます高まることだ。自民党内部には現行協定の破棄論が台頭しており、いつまでも漁業関係者を犠牲にすることはできない状況だ。
 日本側は、中国漁船の乱獲に同じ次元で対応することなく、あくまで資源管理型の手本ともいえるTACを維持しつつ、粘り強い説得を続けていく必要がある。しかし、中国側も新漁業協定署名の原点に立ち返るべきだ。このままでは、共倒れは間違いない。
 
 
 
 
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