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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1995/05/21 毎日新聞朝刊
[社説]核実験 中国の理屈は通らない
 
 中国の地下核実験は傍若無人の振る舞いと言うしかない。
 今月半ばの核拡散防止条約(NPT)再検討・延長会議で非同盟諸国を中心とする非核保有国が、不平等性の強い同条約の無期限延長に最終的に同意したのは、核保有国から核軍縮努力を強めるという約束を取りつけたからだ。中国の通算四十二回目の核実験は、それからわずか四日後に強行された。
 核五大国のうち米露英仏の四カ国は一九九二年以来、核実験の一時停止(モラトリアム)を守っている。それなのに、中国だけが半年に一回のペースで実験を続けている。
 中国は核実験のたびに「これでも自制している。中国の実験回数は米国などよりはるかに少ない。九六年に核実験全面禁止条約(CTBT)が締結、発効すれば核実験は完全に停止する」と強調してきた。
 確かに中国の核実験回数は米国の約千回、ロシア(旧ソ連)の七百十五回、フランスの百九十一回よりはるかに少ない。しかし、だからといって核実験をしても構わないと言うのは勝手な理屈だ。
 英国は四十五回で中国とほぼ同じだが、それなら英国も米国並みに実験する権利があるのだろうか。フランスも米露より少ないがどうか。一回も実験していない非核国はどうなのか。もし中国が自分だけは例外だと考えているのなら、あまりにも独善的ではないか。
 かつての東西冷戦時代に、米ソの核のはざまにあった中国が核開発に走ったのは、それなりの歴史的背景があったと言えるのかもしれない。しかし、中国自身が「平和と発展の時代」と位置づけている今日、なぜ核実験で核兵器の性能向上を図ろうとするのか、理解に苦しむ。
 フランスでは核実験再開を公約に掲げたシラク氏が大統領に当選したばかりだ。中国の実験強行で米露英仏の核実験モラトリアムの一角が崩れたら、核実験再開のドミノ現象が起きかねない。NPT未加盟の核保有国や核保有志願国も刺激されるだろう。中国は核大国としての責任の大きさに気づくべきだ。
 八九年の天安門事件以来、中国指導部が軍部のいいなりになっているのではないかとの懸念も強まっている。国防費は毎年大幅な伸びを示し、九二年の党大会では軍の任務として海洋権益の防衛が初めてうたわれた。南沙(スプラトリー)諸島問題への対応など最近の中国には周辺諸国に軍事的懸念を抱かせるような言動が目立つ。
 ポストトウ小平時代という政治的に微妙な時期を控え、江沢民総書記ら「第三世代」指導部は軍の協力を必要としている。しかし党が軍を指揮する、つまり政治家が軍人をコントロールするのが中国人民解放軍の伝統だったはずだ。中国首脳は政治家として大局的判断に立ち、イニシアチブを発揮すべきではないか。
 今回の実験は村山富市首相が訪中して核実験中止を要請した直後に強行された。中国経済が着実にバランスよく発展することは日本にとっても望ましい。円借款など日本の対中経済援助もこの観点から行われている。しかし援助で浮いた金が核開発などに回されているのではないか、という疑問の声は日本国内で次第に高まりつつある。私たちは核廃絶を願う被爆国として中国の指導者に強いメッセージを送る必要がある。
 
 
 
 
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