日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【天皇制について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/05/25 毎日新聞朝刊
制約内で限界の表現−−天皇陛下の「お言葉」
 
 天皇陛下が二十四日、盧韓国大統領を迎えた宮中晩さんで植民地支配など過去の歴史に対して述べられた「お言葉」は、「我が国によってもたらされたこの不幸」との言い回しで、行為の加害者側であったことを初めて認めた。また昭和天皇の時は用いられなかった「朝鮮半島と我が国」という表現を繰り返されたことで、韓国のみならず朝鮮半島全域に向けたメッセージの性格をも込めると同時に、我が国の責任と立場をより明確にしたものと言える。盧大統領も晩さんの答辞で「この問題に深い関心を示されたことは、きわめて意味深い」と述べ一九八四年九月、昭和天皇のお言葉に対し「厳粛な気持ちで拝聴した」と述べた全斗煥大統領より前向きの評価を下した。
 本来、憲法上「国政に関する権能を有しない」(第四条)天皇のお言葉が、戦後から半世紀近くも経た今、日韓間でこれほどの政治問題に発展したのは、過去の侵略的行為について謝罪を繰り返してきた西ドイツなどに比べ、我が国がその責任と反省をあいまいにしてきた代償と言えよう。
 日本は憲法上の制約を理由に、海部首相が政府を代表して謝罪すると表明、二十四日の首脳会談で「過去の一時期、朝鮮半島の方々が我が国の行為で耐えがたい苦しみと悲しみを体験されたことを謙虚に反省し、率直におわびの気持ちを申し述べたい」と述べた。
 しかし韓国民にとって天皇は、新聞が「日王」と報じるように、日本を代表し、皇位継承後も過去の歴史を背負った「顔」と受けとられている。それだけにあくまでも「天皇の言葉による謝罪が必要だった」(韓国外交筋)わけだ。さらに日本政府自身“皇室外交”の名のもと、事実上、お言葉に政治的効果を期待してきた経緯があった。
 最大のポイントとなったのは、昭和天皇より踏み込むかどうかだった。お言葉が前段で昭和天皇のお言葉を引用しながら、後段で「痛惜の念」を明らかにした腐心の組み立てとなったのは「より踏み込むべきでない」とした自民党などの声に沿いつつ、韓国側の要求にも応えざるをえなかった政府の事情を端的に物語っている。より踏み込むことになった後段のくだりでも、政府部内では韓国へ伝える直前まで「激論が交わされた」(政府筋)という。
 政府は象徴天皇制の制約の範囲内で最大限の表現をしているが、韓国国民からすれば、なぜ今回も率直な謝罪が聞けなかったか、わだかまりは、なお残るかもしれない。
(政治部・榊 直樹)
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
32位
(28,844成果物中)

成果物アクセス数
231,340

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年5月20日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【中国について】
3.私はこう考える【ダム建設について】
4.私はこう考える【死刑廃止について】
5.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
6.私はこう考える【国連について】
7.私はこう考える【自衛隊について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から