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6 空間利用
1)メガフロート(羽田空港再拡張事業関連等)
2002. 3.28  第1回羽田空港再拡張事業工法評価選定会議が開催され, (1)羽田空港再拡張事業, (2)建設工法, (3)今後の会議の進め方について検討した。同会議は, 羽田空港再拡張の早期着工・早期完成のために早急に工法を選定することを目的としている。
 
2002. 4.16  第2回羽田空港再拡張事業工法評価選定会議が開催され, (1)(社)日本海洋開発建設協会から桟橋工法, (2)(社)日本埋立浚渫協会及び(社)日本海洋開発建設協会から埋立工法(桟橋との複合工法), (3)(社)日本造船工業会及び(財)日本造船技術センターから浮体工法についての説明を受け, 検討を行った。
 
2002. 4.30  第3回羽田空港再拡張事業工法評価選定会議が開催され, 桟橋工法, 埋立工法(桟橋との複合工法), 浮体工法について追加説明を受けた。
 
図2-16 
羽田空港再拡張事業に提案された浮体工法案
(写真は全長1,000mの浮体空港モデル)
 
2002. 6.21  国土交通省航空局は, 第7回交通政策審議会航空分科会空港整備部会を開催し, 羽田空港整備拡張事業の今後の課題と国内整備の国, 地方, 民間の取り組み策等につき検討した。そのうち, 焦点となっている羽田空港再拡張の財源の確保策として(1)国の直轄事業として空港整備特別会計への一般会計からの繰り入れの増加, (2)地方公共団体による費用負担を挙げ, ほか資金の借り入れとして, (3)財政投融資資金活用及び民間資金の活用, (4)民間事業主体での事業実施がとりあげられた。
 
2002. 7.24  第4回羽田空港再拡張事業工法評価選定会議が開催され, 各工法の評価選定における主要論点について検討を行った。
 
2002.10. 9  第5回羽田空港再拡張事業工法評価選定会議が開催され, (1)有識者ヒアリング等の結果, (2)主要論点についての検討, (3)報告書(骨子)のイメージ(案)について検討を行った。
 
2002.10.23  第6回羽田空港再拡張事業工法評価選定会議が開催され, 報告書(案)についての説明及び質疑が行われた後, 全会一致で報告書(案)を承認した。
 
2002.10.29  第28回神奈川県・横浜・川崎三首長懇談会が開催され, 羽田空港再拡張事業の地方負担導入への対応等について協議, 意見交換が行われた。同懇談会は, 国が羽田空港再拡張事業の財源として地方負担を導入する方向で検討していることに対し, 地方負担導入反対の立場から国へ要望を行うこととした。
 
2003. 1.16  国土交通省は羽田空港再拡張事業について, 2009年内に供用開始を予定しているが, 工期が不安視され, 東京国際フォーラムで首都圏の地方自治体の首長7人を集めた協議会を開き事業費負担について調整を行った。
 
2003. 2.27  独立行政法人海上技術安全研究所は, メガフロートを利用した浮体空港の安全性と機能についての評価実験を行った。水槽実験や風洞実験によりデータを抽出, これにより安全性評価の面で準備が整った。水槽実験は羽田の海底地形を再現, 模型による波の動揺などの影響を計測, 風洞実験は設計条件の風速毎秒36mでの空港表面と風の摩擦などを計測した。
 
2003. 3. -  メガフロートの一部を使って浮体式の海釣り公園を整備するため, 清水市は, 2月下旬にメガフロート実験団体と契約, 3月に現地へ曳航, 江尻埠頭冷蔵団地の沖合い30mに設置することとになった。136m×46m×3mで, 約6,200m2, 事業費約5億5,000万円。7月竣工, 8月供用開始の予定。
 
2003. 4.28  国土交通省関東地方整備局の東京空港整備事務所は, 羽田空港再拡張事業の現地調査に本年度6億3,900万円を計上した。漁業関係者との調整がつき次第, 建設海域の深浅測量, 海底地盤のボーリング調査, 環境アセスメント調査に着手する。同時に, メガフロートと埋立工法を含めた国際競争入札実施に向け, 基礎データの蓄積を進める。
 
2003. 6.12  羽田拡張をめぐり, 扇国土交通大臣と首都圏の1都7県市の首長を集めた協議会の第3回会合が開かれ, 再拡張後の飛行ルートや騒音問題のほか, 国際化について議論した。飛行ルートは今回, 合意にいたらず7月に予定されている次回会合に持ち越された。事業費の財源問題については議題に上らなかった。
 
2)その他
2003. 1.28〜30 国土交通省主催, シップ・アンド・オーシャン財団後援, 独立行政法人海上技術安全研究所が事務局となって, 東京・新宿のホテル海洋で「海洋空間利用技術に関する国際シンポジウム」が開催された。
 
2003. 2.17  愛知県常滑沖で建設中の中部国際空港(セントレア)の用地造成が完成し, 17日造成工事概成記念式典が現地で行われた。2000年8月に計画より半年遅れて開始された埋立工事は2年半で終え, 今後は2004年春の開港に向けたターミナルビルや滑走路の建設が本格化する。
 
2003. 2.26  大型リゾート施設ハウステンボスが, 2月26日, 会社更生法の適用を申請した。テーマパークの破綻が相次ぐ中で, 改めてその深刻さが認識されている。(第1部第8章参照
 
2003. 3.21  横浜八景島シーパラダイスが, 開島10周年を記念し, さまざまなキャンペーンの一環として, イルカと触れ合うことができる「ドルフィン・ラグーン」を開園した。カマイルカ5頭, バンドウイルカ4頭を自由に泳がせる。
 
2003. 4.26  福岡県と北九州市の共同事業である関門海峡ミュージアム(愛称:海峡ドラマシップ)が開館した。この施設は, 北九州市門司区西海岸に建設され, 門司港レトロ地区の中核となる施設。地域の歴史紹介と同海峡の自然や役割について紹介する博物館。
 
2003. 6.12  第十管区海上保安本部は, 鹿児島大学, (財)日本水路協会と共同で, 海でおぼれる原因のひとつとされる離岸流解明のため宮崎県青島海岸で調査を開始した。この調査は, 測量船とヘリコプターを使い, 地形・波浪・流向・流速・風などを調べるもので, 第1回分は6月16日まで, 第2回は9月に行う。
 
図2-17 門司港レトロ地区
 
7 セキュリティー
2001.12.22  12月21日九州南西海域で監視活動中の海上自衛隊機が漁船型船舶を写真撮影して帰投した。分析の結果, 翌22日0時30分ごろ, 不審船と判断し, 官邸や海上保安庁などに連絡した。
 海上保安庁航空機及び巡視船「いなさ」が追尾を開始するとともに停船命令を発信。不審船は蛇行しながら逃走。巡視船「いなさ」が射撃警告, 威嚇射撃を実施するも停船せず。巡視船「いなさ」及び「みずき」が威嚇のため船体射撃を実施。巡視船「あまみ」及び「きりしま」が不審船に対し挟撃(接舷)を開始。不審船からの攻撃により巡視船「あまみ」, 「きりしま」及び「いなさ」が被弾。海上保安官3名が負傷。巡視船「あまみ」及び「いなさ」が正当防衛のため不審船に対し射撃を実施。不審船は自爆して沈没した。
 
2002. 2.25〜3. 1 海上保安庁は, 九州南西海域に沈没した不審船について, 位置特定のための調査及び水中カメラを使った船体調査を実施した。
 
2002. 5. 1〜8 海上保安庁は, 九州南西海域における不審船事件に関し, 沈没した同船を潜水士及び潜水艇により外観調査を実施した。
 
2002. 6.25  沈没した不審船の船体引揚げ作業に着手した。
 
2002. 9. 4 日本海中部海域で新たな不審船事案が発生。EEZ外であったために, レーダーで追尾監視を行ったが, 翌日レーダーから消滅した。
 
2002. 9.11  沈没した不審船を引揚げた。その後の調査で小型舟艇, ロケットランチャーなどを回収, 同船を北朝鮮の工作船と断定した。
 
2002.10. 6  第十管区海上保安本部は, 九州南西海域で引揚げた北朝鮮の工作船を鹿児島市の鹿児島ドック鉄工(株)に陸揚げした。
 
2002.12.22  九州南西海域で北朝鮮工作船との銃撃事件がおきて丸一年が経過した。海上保安庁は, 2003年4月から警備救難部警備課に所属する不審船対策官を新設し, 対策官の下には専門スタッフを置くことを決めた。不審船を追跡・拿捕(だほ)するための方法や装備を総合的に検討する一方, 内閣官房や防衛庁など関係省庁間の情報連絡体制作りを進める。
 
2002.12.27  日中両国政府は, 九州南西海域において沈没した不審船の引揚げに関し, 日本政府が中国側に「協力金」として1億5,000万円を支払うことで合意した。当初, 中国側では不審船の引揚げ現場周辺での漁船の操業ができなくなったなどと主張し, 漁業補償として約4億6,000万円を要求していた。
 
2003. 3.14  第十管区海上保安本部は, 工作船の乗組員10名を漁業法の立入検査忌避罪と海上保安官に対する殺人未遂罪の容疑で鹿児島地方検察庁に送致した。
 
2003. 5.17〜18 第十管区海上保安本部は, 引揚げた北朝鮮の工作船及び武器類を鹿児島ドック鉄工(株)において一般公開した。
 
2003. 5.31  (財)海上保安協会は, 日本財団の協力を得て東京臨海副都心にある「船の科学館」において北朝鮮工作船(母船及び子船)及び武器類等の展示を開始した。見学者数は, 7月末現在で61万人を超えた。
 
図2-18 北朝鮮工作船の内部
 
2)北朝鮮ミサイル発射と海上防衛
2003. 2.24  北朝鮮が東部沿岸から日本海に向けミサイル2発を発射した。ミサイルは約60km離れた海上に落下し, 1発は失敗。種類は「テポドン」のような核搭載可能な長距離弾道ミサイルではなく, 通常兵器用の地対艦ミサイル「シルクワーム」とみられ, 北朝鮮当局者は「安全保障のため」として発射を認めた。
 
2003. 3.10  北朝鮮が日本海に向け再びミサイルを発射し, 約160km離れた海上に落下。2月24日に発射された「シルクワーム」と同型ミサイルの発射試験とみられる。
 
3)海上防衛・海上テロ対策
2003. 6.22  東京都は, 東京港の港湾施設に対するテロ攻撃や密入国者の対策強化を目的に, 監視カメラの増設など, 管理するコンテナふ頭の防犯設備を2004年夏までに再整備することを決めた。これは, IMOが国際航路を持つ港のテロ対策強化のためSOLAS条約を改正したことを受けた措置である。(第1部第6章参照
 
2003. 6.26  海上自衛隊呉地方隊は, 四国沖において第五管区海上保安本部と共同で, 不審船やテロ対策, 災害派遣などに備えた総合訓練を行った。
 
4)密輸, 密入国, 麻薬
2003, 1. 5  海上保安庁は, 「平成14年における密航及び薬物・銃器等の密輸取締り状況について」を公表した。集団密航事件検挙の状況は, 2001年は41件, 415名であったが, 2002年は13件, 138名と減少。密航方法としては, コンテナ密航が依然として活発である。
 薬物・銃器の密輸取締り状況としては, 2001年に摘発がなかった覚せい剤の大量密輸事件を摘発, また, 覚せい剤の大量漂着事件(漂着量としては過去最高)も発生している。
 
5)海守(うみもり)
2003. 2. 1  日本財団は, (財)海上保安協会, 海上保安庁と協力し, 海の安全と環境を守るために活動するボランティア組織「海守」を発足させた。「海守」は携帯電話, EメールなどのITを利用し, 海に関する情報を提供しあい, 海洋汚染, 密入国, 不審船の発見情報などを, 海上保安庁が運用する緊急番号「118番」に連絡し, 事故を未然に防ぐための活動を行うほか, 海洋環境の保全活動などを通じ, 海に親しめる環境作りを目指す。ボランティアの募集は, 10万人の登録者を目標に2002年12月から行われている。
 
2003. 2.26  「海守」代表の曽野綾子日本財団会長と海上保安庁深谷憲一長官は, 日本財団ビルにおいて, 日本の海を見守るボランティア組織「海守」の活動について, 「海の国日本の『青い海, 平穏な海, 豊かな海』を守るため, 互いに尊重し, 海を見守り, 協力していきます。」と共同宣言を行った。
 
図2-19 「海守」のポスター
 

羽田空港再拡張事業
 国際化を視野に入れて羽田空港に4本目の滑走路を整備する事業。B滑走路平行案で沖合いの位置を決定。「桟橋方式」・「埋立と桟橋の組み合わせ(ハイブリット)方式」・「浮体(メガフロート)方式」の3工法が候補。その後, 国土交通省は滑走路工法の設計と施工業者を一括入札で同時に決定する方針を決定。
 
離岸流
 岸から沖合いに向かう比較的速い流れで, この流れが原因の水難事故が最近多くなっている。
 
テポドン
 北朝鮮が開発, 配備している射程1,500〜3,000kmの三段式弾道ミサイル。1998年に「テポドン1号」を発射した際には, 日本を越えて三陸沖の太平洋に着水した。北朝鮮は「人工衛星」の打ち上げと発表。現在, 射程3,500〜6,000kmの大陸間弾道ミサイル「テポドン2号」の開発が進められているとされる。







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