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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2000/09/23 毎日新聞朝刊
[社説]教育改革 理念見直しより投資充実
 
 教育改革国民会議が中間報告で示した「17の提言」は、家庭教育から高等教育まで多岐にわたる。内容的にも、コミュニティー・スクールの設置促進や、教育休暇制度の導入など大胆なアイデアが含まれている一方、問題を起こす子供の「排除」を示唆するなど感心できない考え方も出されている。なかなか一律には評価しにくいところがある。
 ただ、共通しているのは、依然として論議が不十分で、生煮えのまま提起されている印象が強いことだ。全体像が分かりにくいのである。
 例えば、分科会報告で反響の大きかった奉仕活動の義務化だ。中間報告は「奉仕活動を全員が行うようにする」とし、「小・中学校では2週間、高校では1カ月間、共同生活などによる奉仕活動を行う」「将来的には、満18歳の国民すべてに1年間程度、農作業や森林の整備、高齢者介護などの奉仕活動を義務付けることを検討する」と提言した。
 小、中、高校生が、教科学習に偏らず、こうした活動に取り組むのは望ましい。しかし「奉仕」の意味が不明確だ。「農作業や森林の整備、高齢者介護」が想定されているとすれば、随分貧弱な話である。「滅私奉公」「勤労奉仕」的な後ろ向きのイメージが浮かんでしまう。
 奉仕という以上は、やはり強制や義務化には、なじまない。機会を提供しなければ始まらないということはあるが、それにしても、例えば、評価の高い兵庫県の「トライやる・ウィーク」のように、自発性を重視した体験学習の要素も取り入れるなど、柔軟に対応しないと成果は期待できないのではないか。
 「18歳」の方は、検討課題に後退したが、もう削除すべきだろう。国民に新たな義務を課す重大な提言にしては、考え方が安易すぎる。何より、現実的に無理だ。国民会議の信頼性を損なうことにもなる。
 全体像が分かりにくいのは、コミュニティー・スクールにもいえる。義務教育段階でも多様な教育機会を提供する「新しいタイプの学校」の可能性を探ることは、意義ある試みだ。ただ、そのシンボルとして挙げられているコミュニティー・スクール像は、まだ漠としている。
 「地域独自のニーズに基づき、地域が運営に参画する新しいタイプの公立学校」というのだが、地域のニーズとは何か、教育条件・教育内容の水準をどこに置くか、どこが保障するのか、市町村はどうかかわるのかなどは、不透明だ。
 最終報告までに、論議を詰める必要がある。
 中間報告の中で期待したいのは、「教育振興基本計画」の策定を求めた提言だ。教職員配置、施設整備、IT教育の推進、留学生受け入れ、子供の体験活動のための環境整備などの改善策、実施方策を盛り込み、さらに財政支出の目標となる指標を設定するという。
 今重要なのは、教育基本法の理念の見直しよりも、改革のための具体的施策を総合的、計画的に進めることであり、基本計画の意義は、極めて大きい。
 公財政支出学校教育費の国民総生産に対する割合は、日本は欧米に比べてまだ低い。教育への投資を惜しんでは改革は実行できない。財政支出の充実が大切との共通認識のもとに腰を据えた基本計画を策定し、教育改革を実効あるものにしたい。


 
 
 
 
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