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3.3 混合ブロックの有効性の検証および最適形状の特定に関する実験
 
3.3.1 実験の目的
 前節(3.2)で試作した5種類の混合ブロックを用いて被験者による評価実験を行い、混合ブロックの有効性を“形状のわかりやすさ”と“内外方のわかりやすさ”の両面から検証し、また、混合ブロックの最適形状を特定することを目的とした。
 
3.3.2 方法
 
3.3.2.1 期日
 平成13年10月2日から10月20日までの間、のべ16日間に渡って実施した。被験者はこのうちのいずれか1日に参加し、1人あたりの所要時間はおよそ2時間弱であった。
 
3.3.2.2 場所
 財団法人鉄道総合技術研究所 国立研究所 E実験棟内において実施した。最寄りの国立駅から実験場までは往復ともタクシー利用とした。
 なお、ブロックの敷設工事の様子を資料編2-1に付した。
 
3.3.2.3 被験者
 単独歩行が可能で日常的に鉄道を利用している全盲の視覚障害者38名を被験者とした。
 被験者の募集に際し、「点字毎日」紙に実験の概要を掲載して協力を募ったほか、過去に実施した実験6)や調査8)の協力者に対して協力を呼びかけた。被験者の公募に関する資料を資料編2-2に付した。
 被験者の特性は以下の通りである。個人ごとの特性は資料編2-3に付した。なお、被験者の特性はすべて自己申告に基づくものである。特に、現在の視力になった時期と白杖を用いた単独歩行を始めた時期についてはかなりの時間が経過しているケースも多く、数年程度の誤差が含まれている可能性がある。
 
(1)年齢と男女構成
 被験者の年齢構成と男女構成は図3.8の通りである。年齢構成は20歳代3名、30歳代7名、40歳代6名、50歳代16名、60歳代6名で、平均年齢は47.3歳、標準偏差は11.4歳であった。男女構成は男性21名、女性17名であった。
 
図3.8 年齢構成と男女比
 
(2)視力
 前述のように、全盲であることを被験者の募集条件としたが、結果的に全盲27名、光覚弁9名、指数弁2名となった。光覚弁と指数弁については、どちらか一方の眼が全盲でありもう一方が光覚弁であったり、両眼とも光覚弁であっても見え方が両眼でそれぞれ異なっているなど、明確な分類が困難であることから、通産省製品評価技術センター平成11年度実験9)と同様に、光覚弁と指数弁をあわせて準盲とした。全盲者と準盲者の割合を図3.9に示す。
 
図3.9 全盲と準盲の割合
 
(3)実験時の視力になった時期
 実験時の視力(全盲もしくは準盲)になった時期を図3.10に示した。4歳以下が11名、14歳以下が7名、15歳以上が20名であった。年齢の区分は通産省製品評価技術センター平成11年度実験9)と同様に、0歳から4歳、5歳から14歳、15歳以上の3区分とした。
 
図3.10 実験時の視力になった時期
 
(4)白杖を用いた単独歩行経験
 白杖を用いた単独歩行経験を図3.11に示す。10年未満が2名、10年以上20年未満が7名、20年以上30年未満が12名、30年以上40年未満が12名、40年以上50年未満が4名、50年以上60年未満が1名であった。
 
図3.11 白杖による単独歩行経験
 
(5)鉄道利用頻度
 鉄道を通勤で利用している人が多く、週4日以上利用する人が22名、週1日から3日利用する者が13名であった(図3.12)。週1日未満が3名いるが、これは以前は頻繁に鉄道を利用していたが、最近は利用頻度が低いということである。
 
図3.12 鉄道利用頻度度
 
(6)靴長
 靴長の分布を図3.13に示す。靴長の平均は全体で26.0cm、男性が27.4cm、女性が24.1cmであった。標準偏差はそれぞれ2.3cm、1.3cm、1.8cmであった。
 
図3.13 靴長の分布
 
(7)靴幅
 靴幅の分布を図3.14に示す。靴幅の平均は全体で9.6cm、男性が10.4cm、女性が8.7cmであった。標準偏差はそれぞれ、1.1cm、0.5cm、0.9cmであった。
 
図3.14 靴幅の分布







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