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3.4 結論
 混合ブロックの有効性を“形状のわかりやすさ”と“内外方のわかりやすさ”の両面から検証し、その有効性を確認した。また、混合ブロックの最適形状として混合ブロックB(識別線は1本で、識別線と点状突起の中心間距離が90mmであるもの)を特定した。この混合ブロックBを用いて実施した最終確認実験については第5章で述べる。また、混合ブロックを実際の駅ホームに敷設するための施工上の留意点については第6章で述べる。
 既往の報告2-4)に見られるように、ホームからの転落事故の原因は多岐に渡っているため、1つの対策で万全ということはあり得ないが、本研究で提案する混合ブロックによって、現状の改善が期待できるであろうことは、上に示した通りである。
 混合ブロックを提案した意図はホーム内外方を示すところにあるが、前項で述べた通り、誘導用途にも利用できるという副次的な効用も示唆される。さらに、別の副次的効果として以下のようなものも期待できるだろう。
(1)実質的なブロック敷設幅拡張によるブロック検知性の向上
 識別線により実質的なブロックの幅が増加する。平成12年度の検討5)において、ブロック敷設幅が広くなるほどブロックに直交進入する際の検知性が向上することが示されていることから、点状ブロックのみの場合に比して、ブロックの検知性が向上する可能性がある。
(2)階段前の点状ブロックとの区別の明確化
 現行の敷設ルールでは、ホーム縁端部だけでなく階段の前にも点状ブロックが敷設されるため、ホーム縁端の点状ブロックと階段前の点状ブロックを混同するという問題が以前から指摘されている。しかし、混合ブロックの敷設をホーム縁端のみに徹底すれば、階段前の点状ブロックとの誤認は低減できる可能性がある。
 
文献
1)交通エコロジー・モビリティ財団:公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン, 交通エコロジー・モビリティ財団, 2001.
2)大倉元宏, 村上琢磨, 清水学, 田内雅規:視覚障害者の歩行特性と駅プラットホームからの転落事故, 人間工学, 31(1), PP.1-8, 1995.
3)楠神健, 佐藤幸正, 赤塚肇:視覚障害者の駅ホームからの転落に関する心理学的分析, 鉄道総研報告, 11(11), pp.13-18, 1997.
4)毎日新聞:反対側のホーム「ドア開いたな」, 平成13年10月24日付朝刊, 第29面, 2001.
5)交通エコロジー・モビリティ財団:視覚障害者用誘導・警告ブロックに関する研究報告書, 2001.
6)日本規格協会:視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列, JIS T 9251, 日本規格協会, 2001.
7)人間生活工学研究センター:日本人の人体計測データ, 人間生活工学研究センター, 1997.
8)水上直樹, 藤浪浩平, 大野央人, 鈴木浩明:視覚障害者の駅ホーム上における行動実態に関する現状調査, 鉄道総研報告, 16(1), 23-26, 2002.
9)通商産業省製品評価技術センター:祝覚障害者誘導用ブロックに関する標準基盤研究最終報告書−パターンの標準化を目指して−, 通商産業省, 2000.







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