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(2)BSCにおける評価の視点と指標
(1)評価の視点
・今日、非財務的な評価が重視されている。特に、公共部門では、「必要性」、「有効性」、「効率性」、「公平性」、「公的関与の必要性」など、民間企業以上に多様な観点での評価が求められている。
・その一方で、多様な視点を考慮しすぎることで、トータルでのミッション・ビジョンが結局総花的なものになってしまう可能性がある。
・このような相対する要請へのひとつの答えが、BSCにおける「顧客」「財務」「内部プロセス」「学習と成長」という4つの視点である。
 
(2)「顧客」の視点重視
・公共機関においては、民間企業とは異なり、地域の住民である「顧客」の視点を重視する必要がある。そこで、「顧客」という視点を「財務」等と比較してどれだけ重視するかによって、ビジョン・戦略の設定プロセスが変わってくる。
 
○「顧客」を「財務」より重視
○「顧客」と「財務」を同等に(→「業績」を)重視
 
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(3)指標の設定例
・BSCを具体化する場合、評価指標をどのようにして定量化するのか、特に財務的視点以外の評価については検討の必要性が大きい。BSCの枠組みに則して、民間企業の事例も比較しつつ、以下のような指標の構成例が考えられる。
 
区分 公共機関 企業
顧客 ■顧客満足度
■陳情請願件数
■成果目標達成率
■成果水準の改善状況 等
■顧客満足度
■クレーム件数
■顧客数
■マーケットシェア 等
財務 ■債務残高
■経常収支比率
■ハード・ソフト事業比率
■受益者負担の状況 等
■EVA(経済付加価値)
■(株主資本利益率)
■ROCE(投下資本利益率)
■収益・売上高の成長率 等
内部プロセス ■単位業務あたりの平均業務時問・待ち時間
■計画人員配置率
■外部委託率
■計画への住民参加率 等
■開発効率(開発・設計日数等)
■受注から納品までのリードタイム
■欠陥品率
■新しいアフターサービスの開発進捗率 等
学習と成長 ■従業員満足度
■特定資格保有者数
■職場活性度(業務改革提案数等)
■ITリテラシー(エクセル・ワード研修者数、ひとり当たりメール受発信数等) 等
■従業員満足度
■特定資格保有者数
■職場活性度(業務改革提案数等)
■ITリテラシー 等
・上記のような視点に加えて、「業績(地方公共団体の目指すべき施策目標の達成度)や環境」等の視点を検討することも有効である。
・複数の視点及び指標を掲げた後、どの指標を重要視するのか、組織のミッション・ビジョンに沿うべく議論を重ねることが重要。尚、民間企業では、「財務」の視点を中心に据えてBSCを構築しているが、公共機関の場合は、地域の住民である「顧客」(または「業績」)の視点を重視する必要がある。







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