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緊急時の対応
 緊急時の情報提供は音声情報に頼っているのが現状である。その理由として様々な緊急事態に対応する情報がリアルタイムで変化するため定型化が難しいことがあげられる。そのため、現状では緊急時の情報提供は音声情報に頼っているのが現状であり、聴覚障害者が緊急時の状況を把握するのが困難な状況にある。
 ヒアリングにおいても聴覚障害者に対する最大の課題が緊急時の情報提供であることが確認されており、緊急時における文字情報の提供や接遇面の支援が必要となる。
 
 
 
 
写真5-5 ボタンが小さく位置も分かりづらい例
 
 場面としては緊急時だけでなく、列車の遅れや発着番線の変更などにおいても音声情報に頼っていることが多く、聴覚障害者にとって同様な問題を抱えている。ただし、実際には駅員や乗務員に問い合わせが殺到し、接遇面での対応が困難になるなどの課題があり、あらかじめ掲示の定型文を用意しておく、聴覚障害者を優先することを利用者全体でルール化するなどの対策が必要である。
 
写真5-6 改札外における視覚による運行情報の提供例
 
複数の手段による情報提供
 情報提供の手段はそのほとんどが視覚情報および音声情報により行われている。ただし、利用者の想定を障害のない人としていることから場面や場所により視覚情報または音声情報のどちらかで提供されていることが多い。そのため、視覚障害者や聴覚障害者にとっては情報が提供されていなかったり、情報が断片的になり連続性が確保されていないといった問題が生じている。よって、情報は基本的には複数の手法により提供する必要がある。
 
情報の氾濫への対応
 計画に基づき設置された視覚情報についても情報提供設備を設置する現場においては看板や広告類が同時に掲示されている場合が多く、その多くの情報から必要な情報を的確に探し出すことが困難となる場合がある。同様に音声・音についても例えばホーム上で列車の接近情報を両側の番線で同時に放送するなどの接近する様々な音と錯綜して必要な情報を聞き出せない場合がある。そのため情報の優先順位を定め、提供位置の分離など情報の区別が必要となる。
 
写真5-7 情報の氾濫している状況







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