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事前情報の充実
 事前の情報提供により、行動計画立案が容易になるばかりか現地において障害者が入手する必要がある情報量を減らすことが可能となる。現在、事前情報はインターネットが活用されているが、インターネットや情報機器を活用できない情報弱者に対しては情報を提供できないことが想定される。情報機器に加えて従来からの紙面による情報、問い合わせ窓口、FAXによる対応など多様な手段により情報提供する必要がある。
 
図5−1 事前情報の例
 
視覚障害者の情報提供設備への誘導
 視覚障害者に対しては音声情報のほかに触覚情報が有効であり、現状では視覚障害者用誘導ブロックによる経路誘導および警告、運賃表、触知案内板や階段手すりの点字表示などが設置されているが、点字表示の運賃表や触知案内板の設置位置が個々の駅により様々であることと、また、点字表示の運賃表や触知案内板が設置されていても、そこまで誘導がされていなかったり、設置の有無が不明など十分に活用されているとは言い難い。そのため、触覚情報の設置の有無を明確にすることと、触知案内板や点字表示の運賃表への誘導方法をルール化し公開することが必要である。
 
 
写真5-4 触知案内板、および点字表示の運賃表
 
接遇の充実
 例えば、筆談器はその装置を用意していること自体が利用者へのハードルを低くし、障害者が駅員に問い合わせしやすくなるなど前向きな取り組みとして評価できる。しかし、筆談器まで行かずとも紙と鉛筆の安価な機器でも情報提供は満足できることも指摘された。筆談の基本は接遇であり、本質的には接遇の位置づけを明確にし、職員の啓発を図ることが必要である。様々な情報提供設備は最大公約数的に提供するものであり、個々の利用者に直接必要な情報だけを提供する接遇に勝るものはない。よって、情報提供設備により全ての利用者に対し全ての情報を伝達することが可能となるものではなく、接遇との組み合わせが必要となる。なお、接遇に対する考え方は次項に示す。
 
図5-2 定型文を用意したメモの例
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