日本財団 図書館


第2章 対象施設及び対象者の特性
2.1 対象施設及び対象者
(1)対象施設
 本調査における対象施設は、交通バリアフリー法に定められた公共交通機関の旅客施設及び車両等のうち、鉄道駅・軌道駅及び鉄道車両の利用に係わる情報提供を対象としている。
 鉄道利用に係わる具体的な情報提供としては、以下のような場面が想定される。
(1)外出前(鉄道利用計画時)の事前情報提供
(2)駅構内における情報提供
→出入口、券売機、改札口、通路、階段、エスカレーター、トイレ、ホームなど
(3)車両内における情報提供
 
(2)対象者
 本調査における対象者は下記のような情報障害者を対象としている。
(1) 視覚障害者(全盲、弱視 等)
(2) 聴覚障害者(全ろう、難聴 等)
 なお、障害者の鉄道利用にあたっては、‘初めて利用するケース’、‘たまに利用するケース’、‘日常的に利用するケース’と、利用頻度によって不安度や必要な情報が異なると考えられる。特に、視覚障害者が初めて鉄道を利用する場合は、どのような施設・設備があるかわからず、位置についても把握していないため、多くの場合、駅員や介助者など人的サポートを受けている可能性が高いと考えられる。そのため本調査では、
‘たまに鉄道を利用する人’
‘日常的に鉄道を利用する人’
を対象として考えることとした。
 
2.2 鉄道利用の行動と必要情報
 鉄道利用において想定される行程別に、必要とされる情報と現在提供されている主な情報の内容について、以下のとおり整理した。
 
表2−1 鉄道利用に関する行程別必要情報と主な情報提供装置(1)
行程 必要な情報 主な情報提供装置
視覚情報提供 聴覚情報提供 触覚情報提供
鉄道利用計画時 (事前の情報収集) ・目的地までの経路(乗り換え方法)、運賃、乗車列車の出発時刻、到着時刻など ・冊子(時刻表等) ・インターネット(PC、携帯) ・パソコンソフト ・電話  
・事故等の緊急の情報(遅延状況、運休、原因、運転再開時刻等) ・インターネット (PC、携帯) ・テレビ (文字放送含む) ・電話 ・テレビ、ラジオ  
駅舎へのアプローチ ・駅出入口までの経路 ・誘導サイン ・音(誘導チャイム等) ・視覚障害者誘導用ブロック
・駅の構造(構内案内) ・構内案内図 ・音声付き触知案内板 ・触知案内板
・駅周辺の施設配置 ・周辺案内図    
乗車券の購入 ・券売機の位置 ・誘導サイン ・音(誘導チャイム等) ・視覚障害者誘導用ブロック
・券売機の利用方法(購入方法)   ・音声案内 ・券売機の点字表示 ・テンキー
・目的地までの運賃 ・路線図、運賃表   ・点字運賃表
改札口 ・改札口までの経路(改札口の位置) ・誘導サイン ・音(誘導チャイム等) ・視覚障害者誘導用ブロック
・改札の方法(自動改札での券投入方法)   ・音声案内 ・点字テープ(投入口)
・事故等の緊急の情報(遅延状況、運休、原因、運転再開時刻等) ・可変式情報表示装置 ・急告板 ・案内放送  
通路の移動 ・利用列車の確認 ・可変式情報表示装置 ・案内放送  
・ホームまでの経路(ホーム番線、エレベーター、階段、エスカレーター等の位置) ・誘導サイン ・位置サイン ・規制サイン ・音声案内(エレベーター等) ・視覚障害者誘導用ブロック ・階段手すりの点字表示
ホーム ・乗車ドア位置(列車の停車位置) ・位置サイン   ・視覚障害者誘導用ブロック
・列車の接近、通過 ・可変式情報表示装置 ・回転灯 ・案内放送 ・音(誘導チャイム等)  
・乗り換え案内 ・誘導サイン ・乗車位置案内サイン ・案内放送  
・列車の運行情報(発車時刻、種別、行き先、停車駅、緩急列車接続等) ・可変式情報表示装置 ・案内放送  
・事故等の緊急の情報(遅延状況、運休、原因、運転再開時刻等) ・可変式情報表示装置 ・案内放送  
 
表2−1 鉄道利用に関する行程別必要情報と主な情報提供装置(2)
行程 必要な情報 主な情報提供装置
視覚情報提供 聴覚情報提供 触覚情報提供
車両内 ・車両番号 ・位置サイン   ・車両番号等の点字表示
・ドア開閉 ・可変式情報表示装置 ・音(誘導チャイム等) ・案内放送  
・乗り換え案内 ・可変式情報表示装置 ・案内放送  
・列車の運行情報(発車到着時刻、行き先、停車駅、次駅、緩急列車接続等) ・可変式情報表示装置 ・案内放送  
・事故等の緊急の情報(遅延状況、運休、原因、運転再開時刻等)   ・案内放送  
・便所 ・位置サイン ・車内案内図 ・案内放送  
・優先座席 ・位置サイン    
便所・洗面所 ・便所・洗面所等の位置 ・誘導サイン ・位置サイン ・音(誘導チャイム等) ・音声案内 ・視覚障害者誘導用ブロック ・便所内の配置図
公衆電話 ・公衆電話の位置 ・誘導サイン ・位置サイン    
待合室 ・待合室の位置 ・誘導サイン ・位置サイン   ・視覚障害者誘導用ブロック
・列車の運行情報(発車時刻、種別、行き先等) ・可変式情報表示装置 ・案内放送  
・事故等の緊急の情報(遅延状況、運休、原因、運転再開時刻等) ・可変式情報表示装置 ・急告板 ・案内放送  
全行程 ・総合的な案内 ・筆談器 ・筆記用具(紙とペン) ・駅員による対応(会話)  
・禁煙 ・規制サイン    







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION