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1.5.2 製紙工場への直接海上輸送
 
<問題点>
・工夫しないと輸送コストが高くなる。
 離島から循環資源をリサイクル施設まで輸送する場合、海上輸送と陸上輸送を組み合わせなければならず、輸送コストが割高となる。
 
<製紙工場の古紙受入状況>
・各家庭から排出される古紙は、自治体が収集した後、古紙問屋を通して製紙工場へ運搬される。
・製紙工場へ運搬されるには、古紙を圧縮し、サイズをそろえる必要がある。この作業は、自治体のリサイクルセンター等で行われる場合と、古紙問屋で行われる場合がある。
・製紙工場への輸送ルートは、ほとんどが陸上輸送である。
・海上輸送をする場合は、製品輸送の帰り荷として、古紙を回収する場合がある。
・王子製紙では釧路、苫小牧、日南の3工場で海上輸送により古紙を受け入れている。これは古紙発生地である人口集積地と製紙工場が離れているためであり、製品出荷の帰り荷を利用して古紙を回収している。王子製紙は専用船を所有しており、船橋と苫小牧に専用バースがある。
・製紙工場では、古紙を有償で受け入れている。価格は市況によるが、平成14年はトン当たり10,000円前後となっている。
 
表−1.5.4 王子製紙の海上からの古紙受入状況
工場 船の種類 バース
釧路 RORO船(自社船)2隻所有 その他、他社船4隻 船橋に専用バースあり その他は公共バースを使用
苫小牧 RORO船(自社船)3隻所有 その他、他社船を利用 苫小牧、その他に専用バースあり その他は公共バースを利用
日南 RORO船(自社船)1隻所有 全港とも公共バースを利用
資料: 運輸省港湾局開発課「循環資源型社会に向けた港湾のあり方に関する調査」(平成12年3月)
 
<対象離島のリサイクル状況>
・各離島では、自治体による収集が行われており、対馬、上五島、下五島では、貨物船にて本土へ海上輸送され、古紙問屋まで陸送されている。
・壱岐については、郷ノ浦港から三島川之江の製紙工場まで、直接海上輸送されている。これは、福岡へ製紙を輸送した帰り荷として、古紙を輸送している。
 
<関係者意見>
・古紙の製紙工場への直接搬入は、海上輸送+陸上輸送よりも安くなるだろう。古紙の売値で運賃くらいまかなえるのではないか。
 
<提言の骨子>
・古紙を製紙工場へ輸送する際、輸送コストを下げる工夫として、各離島から製紙工場まで直接海上輸送する。
 
図−1.5.4 概念図
 
<古紙を受け入れている臨海部にある製紙工場>
 
表−1.5.5 九州近辺の臨海部にある主な古紙リサイクル工場
企業名 所在地
日本製紙(株) 八代工場 熊本県 八代市
王子製紙(株) 日南工場 宮崎県 日南市
大王製紙(株) 三島工場 愛媛県 伊予三島市
参考:各社HP
 
<実現上の課題>
・離島から製紙工場まで直接海上輸送する場合、離島内で圧縮等の処理が必要である。
・そのためには、ベーラー(古紙を圧縮し、立方体状の塊にする機械)等が必要となる。
 
<効果の試算>
(1)陸上輸送と海上輸送を使った場合の輸送コスト試算
<輸送ルート>
・古紙を、厳原港−博多港間を定期的に運航している貨物船を使って海上輸送する。
・10トントラックを使い、博多港から三島川之江の製紙工場まで陸上輸送。
 
図−1.5.5 輸送ルート
 
<古紙の年間排出量>
・対馬からは、年間1,800トンの古紙が排出されるものと仮定する。
注:この排出量は、「6章」で推計した数値を使用した。
 
<船舶>
・厳原港−博多港間を定期的に運航している199GT級の貨物船を想定した。
 
<輸送コスト試算>
・輸送コストを試算すると、トンあたり約9千円となる。
 
表−1.5.6 輸送コストの試算
項目 単価等 単位
年間排出量 1,800 t
年間輸送回数 4
1輸送当たり輸送量 450 t/回
海上輸送(貨物船) 海上輸送 500,000 万円/回
陸上輸送(博多港−三島川之江港) トラック1台当たり輸送料 80,000 円/台
トラック1台当たり輸送量 10 t/台
トラック台数 45 台/回
1輸送当たり輸送量 3,600,000 円/回
合計 4,100,000 円/回
トン当たり輸送料 9,111 円/t
注:収集運搬業者、古紙問屋へのヒアリングにより作成。
 
(2)直接海上輸送をする場合の輸送コスト試算
<輸送ルート>
・古紙をチャーター船に積み、厳原港から三島川之江港へ海上輸送する。
 
図−1.5.6 輸送ルート
 
<古紙の年間排出量>
・対馬からは、年間1,800トンの古紙が排出されるものと仮定する。
 
<船舶>
・厳原港−三島川之江港まで、499GT級の貨物船を利用することを想定した。傭船期間は、3日(往路1日、荷役1日、復路1日)と想定した。
 
<輸送コスト試算>
・輸送コストを試算すると、トンあたり約6.5千円となる。
 
表−1.5.7 輸送コストの試算
積地 厳原港 単位 備考
揚地 三島川之江港
年間輸送回数 4  
1隻当たり輸送トン数 450 t  
積地諸掛 作業員 180,000 円/回 30,000円×6名
その他費用 150,000 円/回 管理費等
海上諸掛 傭船料 1,800,000 円/回 499GT
港費 60,000 円/回  
揚地諸掛他 作業員 180,000 円/回 30,000円×6名
その他費用 150,000 円/回 管理費等
総合計 2,520,000 円/回  
一般管理費 252,000 円/回 総費用×0.1
適正利潤 145,895 円/回 (総合計+一般管理費)×5/95
総費用 2,917,895 円/回  
トン当たり輸送料 6,484 円/t  
注:収集運搬業者へのヒアリングにより作成。
 
<比較>
 (1)陸上輸送と海上輸送を使った場合と比べ、(2)直接海上輸送をする場合の方が、トンあたり3割程度コスト削減が可能となる。







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