日本財団 図書館


1.5 離島に適した循環資源の共同的な海上輸送モデルの提案
1.5.1 セメント工場への直接海上輸送
<問題点>
・工夫しないと輸送コストが高くなる。
 離島から循環資源をリサイクル施設まで輸送する場合、海上輸送と陸上輸送を組み合わせなければならず、輸送コストが割高となる。
 
<セメント工場の循環資源受入状況>
・セメント工場でのリサイクル:セメント工場では、その製造過程で原材料を約1,500℃という高温で焼成するため、ほとんどの循環資源を無害に処理することが可能である。
・セメント原材料としてのリサイクル:石炭灰、汚泥、焼却灰、鉱さいなどの成分は、セメントの原材料である石灰石、粘土、珪石、鉄原料などの鉱物の成分と共通しているので、セメント原材料として再資源化することが可能である。
・セメント製造用燃料としてのリサイクル:高い発熱量を持つ廃タイヤ、廃油、廃プラスチックなどは、セメントキルンの燃料として再利用が可能である。また、焼却の際に発生する熱は、セメント製造用の熱源ならびに電源(廃熱発電)として利用が可能である。さらに、廃タイヤ、廃プラスチックの焼却では通常、燃えがらが二次廃棄物として発生するが、この燃えがらの全量はセメント原材料として再利用できる。
・全国で排出される廃タイヤのうち、セメント工場でリサイクルされるのは、約3割である。(資料:(社)日本自動車タイヤ協会)
・セメント工場では、廃タイヤを逆有償で受け入れており、トンあたり7,000円程度である。
 
<対象離島のリサイクル状況>
・各離島から排出される循環資源のうち、廃タイヤがセメント工場でリサイクルされている。
・壱岐、上五島、下五島では、複数の収集運搬業者がトラックで各離島から廃タイヤを収集し、セメント工場へ運搬している。
・対馬では、収集運搬業者1社が、収集した廃タイヤをガット船に乗せ、厳原港から直接セメント工場へ輸送している。
・セメント工場から輸送されるセメントは、セメント専用船(粉状のものしか扱えない)で輸送されるため、廃タイヤを帰り荷とすることはできない。
 
<関係者意見>
・離島から海上輸送される廃棄物を、臨海部にある中間処理施設やリサイクル施設に直接持って行ければ、輸送コストは安くなる。
 
<提言の骨子>
・離島から排出される循環資源のうち、廃タイヤをセメント工場でリサイクルする。
・輸送コストを下げる工夫として、各離島から共同してセメント工場へ海上輸送する。
 
図−1.5.1 概念図
 
<九州の臨海部にあるセメント工場>
 
表−1.5.1 九州の臨海部にあるセメント工場
企業名 所在地
新日鐵高炉セメント(株)戸畑工場 福岡県北九州市
三菱マテリアル(株)九州工場 福岡県京都郡苅田町
宇部興産(株)苅田工場 福岡県京都郡苅田町
苅田セメント(株)苅田工場 福岡県京都郡苅田町
太平洋セメント(株)津久見工場 大分県津久見市
太平洋セメント(株)佐伯工場 大分県佐伯市
参考:各社HP
 
<目的>
・複数の収集運搬業者が、それぞれ廃タイヤを運搬するのではなく、状況に応じた船舶をチャーターし、共同輸送することにより、輸送コスト削減を目指す。
 
<実現上の課題>
・共同輸送体制の構築が必要。
・廃タイヤをストックする場所が必要。
 
<効果の試算>
(1)陸上輸送と海上輸送を使った場合の輸送コスト試算
<輸送ルート>
・廃タイヤを10トントラックに積み、郷ノ浦港から定期フェリーを使って博多港へ。
・博多港から苅田のセメント工場まで陸上輸送。
 
図−1.5.2 輸送ルート
 
<廃タイヤの年間排出量>
・壱岐からは、年間300トンの廃タイヤが排出されるものと仮定する。
 注:この排出量は、全国の年間廃タイヤ発生量を、壱岐の人口で按分し、推計したものである。
 
<船舶>
・郷ノ浦港−博多港を運航している定期フェリー(1,700GT、1,900GT)を想定した。
 
<輸送コスト試算>
・輸送コストを試算すると、トンあたり約11千円となる。
 
表−1.5.2 輸送コストの試算
項目 単価等 単位
年間排出量 300 t/年
年間輸送回数 6
1輸送当たり輸送量 50 t/回
10tトラック1台当たり輸送量 8 t/回
トラック台数 6 台/台
海上輸送(フェリー) 海上輸送料/台 41,000 円/台
海上輸送量合計 256,250 円/回
陸上輸送(博多港−苅田港) トラック1台当たり輸送料 45,000 円/台
1輸送当たり輸送料 281,250 円/回
合計 537,500 円/回
トン当たり輸送料 10,750 円/t
注:収集運搬業者からのヒアリングにより作成。
 
(2)直接海上輸送をする場合の輸送コスト試算
<輸送ルート>
・廃タイヤを貨物船に積み、郷ノ浦港から苅田港へ海上輸送する。
 
図−1.5.3 輸送ルート
 
<廃タイヤの年間排出量>
・壱岐からは、年間300トンの廃タイヤが排出されるものと仮定する。
 
<船舶>
・郷ノ浦港−苅田港まで、499GT級の貨物船を利用することを想定した。傭船期間は、3日(往路1日、荷役1日、復路1日)と想定した。
 
<輸送コスト試算>
・輸送コストを試算すると、トンあたり約9千円となる。
 
表−1.5.3 輸送コストの試算
積地 郷ノ浦港 単位 備考
揚地 苅田港
年間排出量 300 t/年
年間輸送回数 1  
積地諸掛 クレーン傭車 150,000 円/回 45Tクレーン×1日
作業員 90,000 円/回 30,000円×3名
その他費用 150,000 円/回 管理費等
海上諸掛 傭船料 1,400,000 円/回 499GT
港費 60,000 円/回  
揚地諸掛他 クレーン傭車 150,000 円/回 45Tクレーン×1日
作業員 90,000 円/回 30,000円×3名
その他費用 150,000 円/回 管理費等
総合計 2,240,000 円/回  
一般管理費 224,000 円/回 総費用×0.1
適正利潤 129,684 円/回 (総合計+一般管理費)×5/95
総費用 2,593,684 円/回  
トン当たり輸送料 8,646 円/t  
注:収集運搬業者からのヒアリングにより作成。
 
<比較>
 (1)陸上輸送と海上輸送を使った場合と比べ、(2)直接海上輸送をする場合の方が、トンあたり2割程度コスト削減が可能となる。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION