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(c)データ収録結果
 扇島南東沖測量実験および仙台湾測量実験の収録結果と、一般に使用されている浅海用処理ソフトウェアを使用した処理結果を以下に示す。
(ア)扇島南東沖測量実験
 測量は、井桁状に設定した測線で実施した。測線間隔は約40mである。実施した測量の航跡を図84に示す。
 
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図84 川崎前面扇島南東沖測量実験航跡
 
 同時収録したSeabat8101データおよびSeabat8125データを処理し作成した水深図を以下に示す。
 Seabat8101は、測量船「はましお」に船底取付であり、各バイアス値は既知である。従って、バイアス値は、収録時にオフセットデータとして入力し、収録後の後処理では実施しなかった。
 Seabat8125は、測量船「はましお」において臨時の船首支柱取付であるので、各バイアス値を取得するためパッチテストを実施した。表32に処理内容を図85及び図86に作成した水深図を示す。
 この図からは、どちらも航跡に対して垂直方向に櫛の波状パターンが表われているのがわかる。Seabat8125で取得したデータはSeabat8101で取得したデータより顕著に表われている。櫛の波状パターン等水深図に対する処理の検討については次節に示す。
 
表32 データの処理内容
項目  処理内容
  Seabat8101 Seabat8125
測深機の取付方法  船底取付 船首支柱取付
動揺センサー TSSDMS TSSDMS
処理 音速補正 実施した 実施した(表面音速処理を含む)
潮高補正 実施した 実施した
ノイズ除去 実施した 実施した
バイアス補正 実施しない 実施した
・Roll 0.7deg
・Pitch 0.7deg
・Yow 0.8deg
・Position Latency 0.1sec
動揺補正 Roll 実施した(各ビームの受信時) 実施した(各ビームの受信時)
Pitch 実施した(送信時) 実施した(送信時)
Heave 実施した(送信時と各ビーム受信時の平均値) 実施した(送信時と各ビーム受信時の平均値)
 
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図85 Seabat8101データ水深図
 
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図86 Seabat8125データ水深図
 
(イ)仙台湾測量実験
 測量は、8月25日および26日の2日間行った。8月25日は、2カ所で測量を実施した。西側の海域では、東西方向の測線のみで収録を行い、東側の海域では、東西方向と南北方向の井桁状に収録した。また、8月26日は、1カ所で東西方向と南北方向の井桁状にデータを収録した。それぞれの航跡図を以下に示す。
 
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図87 仙台湾測量実験の8月25日の航跡図
 
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図88 仙台湾測量実験の8月26日の航跡図
 
 収録したSeabat8125データの処理結果を下記に示す。測量船「天洋」搭載艇においてSeabat8125は船首支柱取付であるので、パッチテストを実施した。以下に処理内容と作成した水深図を示す。
 
表33 Seabat8125データの処理内容
項目 処理内容
測深機の取付方法 船首支柱取付
動揺センサー POS/MV
処理 音速補正 実施した(表面音速処理を含む)
潮高補正 実施した
ノイズ除去 実施した
バイアス補正 実施した Roll 0.9deg
  Pitch 0.1deg
  Yow 3.1deg
  Position Latency 0.1sec
動揺補正 Roll 実施した(各ビームの受信時)
Pitch 実施した(送信時)
Heave 実施した(送信時と各ビームの受信時の平均値)
 
 図89〜図90に示す水深図を見ると航跡に対して直交方向に櫛の歯状パターンが表われている。図89の西側の海域では、現象を顕著に見ることができるが、東側の海域および図90では、現象を把握するのが難しくなっている。これは、井桁状のデータをそのまま重ねて水深図として作成したためクロスする測線で水深データが平均化されたことによる。このように、櫛の歯状パターンは井桁状のデータを重ねた場合、現象を把握しにくくなるため注意が必要となる。櫛の波状パターン等水深図に対する処理の検討については次節に示す。
 
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図89 8月25日の水深図
 
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図90 8月26日の水深図







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