a)海底面の楕円体高
ここでは、同一地点における海底面の楕円体高差の検討を、安定したK−GPS測位結果が得られた東西測線で、詳しく実施した。
計算をわかりやすくするため、位置座標を平面直角座標IV系に変換し、往路の測位点から近傍距離内に存在する復路の測位点を探した。相手データが1点以上存在する点は、その中のメジアンの点を用いて差を計算した。
K−GPS測位を今治基準で実施した結果を用い、近傍点の許容距離を、1m、5m、10mの範囲内と条件を変えて海底面楕円体高の差の絶対値を求めた。その結果、測量点25018点のうち近傍1mでは167点において一致点が存在し、近傍5mでは4042点、近傍10mでは14239点において一致点が存在した。
表24 |
今治基準K−GPS測位を用いた東西側線における海底面高度の差(単位m) |
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一致点 |
最大水深差 |
平均水深差 |
RMS |
近傍1m |
167 |
8.22E+00 |
6.60E+01 |
6.618E+01 |
近傍5m |
4042 |
1.84E+01 |
1.00E-01 |
1.000E-01 |
近傍10m |
14239 |
1.84E+01 |
3.71E-02 |
3.715E-02 |
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これらを図58に示す。これを見ると水深差が大きくなったのは、今治近くの海底面の傾斜が大きい場所である。海底の比較的なだらかな地形の所は概ね50cm以下の高度差となっている。
前節では、K−GPS解析に関していくつかの異なる結果を示したが、それらの中で魚島基準、西条基準及びIT解析結果についても海底面の楕円体高差を検討した。
近傍1m
近傍5m
近傍10m
図58 |
今治基準測位における東西測線の許容近傍距離を変えたときの一致点の違いと海底面楕円体高の往路・復路差 |
(横軸:平面直角座標IV系Y座標m、縦軸(左):X座標m、縦軸(右):海底面高度差の絶対値m。ここで、X、Y座標は水平面を意味するが、縦と横のスケールが極端に異なるので注意。横軸の−30000付近の下への突出は、西進時に測量船が測線を南に約40mはずれたため。) |
(拡大画面:26KB) |
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(魚島基準)
(拡大画面:26KB) |
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(今治基準)
図59 |
東西測線の近傍5m内一致点における海底面楕円体高の往路・復路差(その1) |
(拡大画面:27KB) |
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(西条基準)
(拡大画面:26KB) |
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(IT解析)
図58 |
東西測線の近傍5m内一致点における海底面楕円体高の往路・復路差(その2) |
表25 東西測線における海底面の楕円体高の差(単位m)
解析基準 |
一致点 |
最大水深差 |
平均水深差 |
RMS |
魚島 |
4010 |
1.830E+01 |
1.000E-01 |
2.825E-01 |
今治 |
4042 |
1.840E+01 |
1.000E-01 |
1.000E-01 |
IT解析 |
2284 |
2.910E+00 |
4.210E-02 |
1.732E-02 |
西条 |
1999 |
1.680E+01 |
1.090E-01 |
7.403E-02 |
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各測点における海底面楕円体高の往復の差の絶対値の2乗平均(RMS)は、表24に示す通りである差の平均を取ると、IT解析の結果が小さいが、これは、前節で述べたように、IT解析ではGPSデータのクオリティチェックを行ったために比較的に安定した結果を得ていると考えられる。その他の解析結果では、一部に、あきらかに間違った解が得られている場合があり、そのためにとして平均が大きくなっている。
図60に、東西測線の中で比較的きれいに決まった代表的区間で、海底面楕円体高の差を紹介する。このように、IT解析もその他の解析でも、K−GPS測位が正確に行われている場合は、結果はよく一致する。
魚島基準
西条基準
図60 特定区間の海底面の楕円体高(縦軸は高さ(m)、横軸は経度)(その1)
今治基準
IT解析
図60 特定区間の海底面の楕円体高(縦軸は高さ(m)、横軸は経度)(その2)
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