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図31 平成14年度 平均水面モデル(MSL2002)の作成方法
 
 そこで、本年の平均水面モデルを図31の流れに従い作成した。
まず、基本水準標地点における補正後楕円体高とGeoid2000の比較を実施した。この差の経度方向の動きを見るために作成したのが図32である。これらの水路測量標観測点における平均水面の楕円体高とGEOID2000の差の分布を双3次B-Spline分布関数で平滑化して表現したものが図33である。
 一方、MSL_COR_2002とGeoid2000との差は図34のようになる。これを見ると、観音寺前面海域、松山前面海域、別府湾付近が特に高い傾向を示し、姫路前面海域および周防灘が高い傾向を示している。これに対し、小豆島付近は低い傾向を示している。これらを除いた本州沿岸、四国沿岸および芸予海峡付近はほぼ同じ値であることがわかる。
 
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図32 基本水準標観測点における平均水面楕円体高とGeoid2000の差(cm)
 
図33 基本水準標観測点での補正済平均水面とGEOID2000の差を平滑化した分布
 
図34 MSL_COR_2002とGeoid2000の差
 
 そこで、Geoid2000モデルに各地の補正済平均水面のGeoid2000からのずれを平滑化した図33を加えたものを本年度の平均水面モデルMSL2002とし、図35に示す。
 
 昨年度作成したMSL_2001と今年度作成したMSL_2002を比較するため、
MSL_2002−MSL_2001
として図36に示す。
 これをみると昨年度モデルに比べ、特に小豆島周辺で高く、燧灘東南部、伊予灘、別府湾付近が低くなっている。
図35 MSL_2002
 
図36 MSL_2002−MSL_2001
 
(3)Z0モデルの作成
 Z0の値は平均水面一覧表に示してあるが、瀬戸内海については0. 1m単位の表現である。楕円体高を測定したうち36点の基本水準標については4分潮の値が入手でき、1cm単位の値が計算されているが、他の点は0.1m単位の値である。一方、楕円体高を測定していない基本水準標87点についても4分潮の値が入手できている。ここでは、1cm単位で得られる値のみを用いて、平成12年度に精密Z0モデルを作成した。作成手順を図37に示す。
 
図37 平成12年度に作成した精密Z0モデル作成手順
 
図38 平成13年度の精密Z0モデル作成手順
 
 しかし、瀬戸内海は特にその地形が複雑なために、用いた点のデータだけでは、十分に正確な潮汐にともなう潮位振幅の分布を求めることが困難である。そこで、瀬戸内海の精密な潮汐シミュレーション結果(当協会の研究成果による)を用い、観測データをほぼ説明し、なおかつ細かい構造を潮汐シミュレーション結果にあわせたモデルを作成することとした。作成手順を図38に示す。
 シミュレーションの計算ポイントはメッシュ点であるが、メッシュの間隔は場所により異なり、また、観測データとの比較のためには補間をしなければならない場合がある。基本水準標観測点位置におけるシミュレーション結果の抽出は、より細かいメッシュのシミュレーションポイントを採用するようにして、全体を約2kmのメッシュに分割し、基本水準標観測点が含まれるメッシュ内に存在するZ0シミュレーションポイントのうち、最も近いポイントの結果を採用した。基本水準標観測点123点のうち、同じ2kmメッシュ内にZ0シミュレーションポイントが存在しない点が21点あった。
 これらの点を基本水準標観測点とシミュレーション結果の同一点として抽出し、各点におけるZ0の測定値とシミュレーション結果の差を双3次B-spline関数により100mメッシュデータに平滑化した。観測点と抽出されたシミュレーションデータ点を図39に示す。また、同一点における差の数値を見るために、緯度方向の分布を無視して、経度に対するZ0の差の値をプロットしたものを図40に示す。差の分布には経度方向の偏りは見られず、±10cmに分布している。
 
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図39 観測点と抽出されたシミュレーションポイント
 
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図40 基本水準標観測点での測定されたZ0とシミュレーション結果の差







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