験潮結果から求められた各地のZ0の値だけを用いて双3次B−spline関数による観測量(Z0)の平滑化表現を行ったZ0分布モデルを図41にZ0_2000(Seamless_Model)として示す。図42は今回入手した瀬戸内海の潮汐シミュレーション結果(3.3,10,30secメッシュ)を図に示したものである。
これらをもとに、各観測点のZ0観測量とZ0_simの差を、同じく双3次B−spline関数で平滑化した。この結果を図43に示す。この分布をZ0_simの分布に加えたたものを、験潮結果に潮汐シミュレーション結果を加えた新しいシームレスモデルとし、Z0_2002(New Seamless Model)として図44を作成した。
図41 Z0_2000(Seamless_Model)
図42 Z0_sim(瀬戸内海の潮汐シミュレーション結果:3.3、10、30secメッシュ)
図43 |
各地点でのシミュレーション結果と測定されたZ0の差を平滑化した分布 |
図44 Z0_2002(100mメッシュ)
図45 Z0_2002−Z0_2000(差の分布)
今年のシームレスZ0モデルと昨年度までのシームレスZ0モデルの差の最大ポイントを探し、また、フィットしている地域を探すため図45にZ0_2002−Z0−2000を作成した。
これを見ると、周防灘西部をのぞきほぼ±10cm以内に入っている。
(4)最低水面モデルの作成
前項までに作成したZ0モデルZ0_2002及び平均水面モデルMSL_2002をもとに最低水面モデルを作成した。
昨年までのモデルの作成手順を図46に示す。
図46 平成13年度の最低水面モデル作成手順
また、図47は昨年度までに作成した最低水面モデルである。昨年度までのCDLモデルはMSL_2001−Z0_2000としてCDL_2001(シームレス最低水面モデル)とした。
図47 CDL_2001(最低水面の楕円体高分布)
これに対し、本年度のCDLモデルを図48に示す手順に従い作成した。これにより今年のCDLモデルであるCDL_2002(シームレス最低水面モデル)の楕円体高分布を図49に作成した。
図48 最低水面モデルの作成手順
図49 CDL_2002(最低水面)
本年度作成した最低水面モデルと昨年度作成した最低水面モデルを比較した。CDL_2002−CDL_2001を図50に示す。
これを見ると、播磨灘中央部は昨年度と変わらないが小豆島付近は高くなっている。瀬戸内海中央部は北部より南部の方が低くなっており、周防灘は東側に比べ西側国東半島および行橋前面海域の差が少ない。
図50 最低水面モデルの比較(CDL_2002−CDL_2001)
2.1.4 最低水面モデルの評価
上記で作成した平成14年度最低水面モデルを評価するため験潮データ及び基本水準標の楕円体高測定地点における、平均水面の高さのモデル値と測定値(補正後)の比較を行った。その結果を図53に示す。また、精密Z0とモデル及び公式のZ0とモデルの差を図54に示す。
平均水面高については、モデルと観測値の差の標準偏差(RMS)は18.638cmとなった。また、平均水面と最低水面の差(いわゆるZ0)の現在の公式の値とモデルの差のRMSは、4.104cmとなった。
また、永年験潮施設の中で、宇野、高松、松山、姫路の験潮施設で、験潮基準レベルの水準測量を行いそれから求めた永年平均水面高の標高(すなわちGeoid2000からの高さ)(海岸昇降検知センター2002による)と今回の平均水面モデルの差を求めると次のようになった。
表21 永年観測施設における値
永年験潮施設 |
緯度 |
経度 |
潮位の永年平均(1) |
潮位観測基準面の標高(2) |
平均水面のジオイド高(3) |
(MDL_2002)
−(Geiod2000) |
|
(度) |
(度) |
(m) |
(m) |
(m) |
(m) |
宇野 |
34.79194 |
133.95000 |
1.908 |
-1.745 |
0.163 |
0.112 |
高松 |
34.34972 |
134.05667 |
2.059 |
-1.901 |
0.158 |
0.138 |
松山 |
33.85861 |
132.71222 |
2.303 |
-2.140 |
0.163 |
0.199 |
姫路 |
34.78528 |
134.66251 |
1.043 |
-0.919 |
0.124 |
0.196 |
|
(1) |
本研究で地殻上下変動を考慮して決めた永年平均水面と潮位観測基準面の高さの差(西暦 |
(2) |
「海岸昇降検知センター潮位年報平成13年」による |
(3) |
左側の(1)−(2)の値の差 |
これにより、今回用いた平均水面モデルは、ほぼ水準測量の結果と一致していることがわかる。また、モデルと観測値の偏差はほぼ14.37cmである。
図51 MSL2002(モデル値)−補正後の平均水面の楕円体高
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