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4.4 エンジングループ概念の適用
4.4.1  これらのエンジンは、本来、主推進用に利用される。通常は、船上での運転条件に合わせて調整、あるいは改造を必要とするが、その結果本コードの3.1に記載されている制限値を越えるNOxを排出することになってはならない。
4.4.2  この概念はまた、製造時、もしくは使用中のエンジンの改造に対する承認試験の軽減の可能性を与えるものである。
4.4.3  一般に、エンジングループ概念は4.4.5項に規定のものと同一の設計の特徴を持つエンジンであれば、いかなる型式にも適用できるが、試験台での計測後に個別のエンジン調整、もしくは改造が許されている。エンジングループの範囲及び親エンジンの選定は主管庁の同意と承認を必要とする。
4.4.4  エンジン製造者又は他の組織の要求があれば、主管庁は認証のためにエンジングループ概念の適用を考慮するものとする。エンジンの所有者が、エンジン製造者の技術的支援の有無に関わらず、自身の船舶の同類エンジンを改造することを決定した場合、所有者がエンジングループ認証を適用してよい。エンジングループには試験に供されたテストエンジンを含めてよい。代表的な適用例としては、使用中の類似エンジンに、あるいは類似した運転条件下の類似エンジンに類似した改造を加える場合がある。
 
4.4.5 エンジングループの選択ガイドライン
4.4.5.1  エンジングループは、4.3.8項に特定されたエンジンファミリーのパラメータに加えて基本特性及び仕様によって定義される。
4.4.5.2  下記のパラメータ及び仕様はエンジングループ内のエンジンに共通していなければならない。
1. 内径及び行程の寸法
2. 過給及び排ガスシステムの方法及び設計上の特徴
−静圧過給
−動圧過給
3. 過給空気冷却システムの方法
−空気冷却器あり/なし
4. NOx排出に影響する燃焼室の設計上の特徴
5. NOx排出に影響する基本特性を形成する燃料噴射システム、プランジャー、噴射カムの設計上の特徴
6. 最大定格速度でのシリンダ当りの最大定格出力。エンジングループ内の許容ディレーティング範囲は製造業者が提示し、主管庁の承認を得るものとする。
4.4.5.3  上記4.4.5.2項で要求されているパラメータがエンジングループを構成しそうな全エンジンに共通していない場合、それらのエンジンはエンジングループとみなされない場合がある。しかし、パラメータあるいは仕様の一点だけが共通していない場合であって、エンジン製造者もしくは船舶の所有者が、テクニカルファイルの中で、一つのパラメータ、もしくは仕様のそのような逸脱によってもなお結果として、エンジングループ内の全てのエンジンがNOx排出制限値に適合することを、主管庁に対して証明できる場合は、エンジングループと認めてもよい。
 
4.4.6 エンジングループの許容可能な調整、又は改造ガイドライン
4.4.6.1  下記の場合、エンジングループの予備認証を受けた後、あるいはエンジングループの試験台での最終計測終了後に、関係者の合意及び主管庁の承認に基づいてエンジングループ概念に準拠した微調整及び改造が認められる。
1. エンジン製造者により提供されたエンジン又はデータでの、排ガスに関連するエンジンパラメータの検査又は船上におけるNOx検証方法の提供によって、調整済みもしくは改造済みエンジンが、該当するNOx排出制限値に適合することが確認される場合。NOxの排出に関する試験台での試験結果は、エンジングループ内のエンジンに船内で加えられる調整、或いは改造の検証の為の選択肢として認められるものとする。
2. 船内計測によって、調整済み、或いは改造済みエンジンが該当するNOx排出制限値に適合することが確認される場合。
4.4.6.2  許容可能なエンジングループの調整及び改造の例を下記に記載したが、これの例に限定されるものではない。
1. 船内条件に合わせるための調整:
−燃料性状の差を補償するための噴射タイミング
−最大筒内圧力を最適化するための噴射タイミング
−シリンダ間の燃料供給量の差
2. 性能最適化のための改造:
−ターボチャージャー
−噴射ポンプの部品
−プランジャーの細目
−吐出バルブの細目
−噴射ノズル
−カムの仕様
−吸気弁及び(又は)排気弁
−噴射カム
−燃焼室
4.4.6.3  試験台での試験後に行われる上記の改造例は、エンジンの使用期間を通して、構成部品もしくはエンジン性能を改良するのに不可欠なものである。これは、エンジングループ概念が存在する主な理由の一つである。主管庁は、申請を受けた場合、一台のエンジン(これはテストエンジンの場合もある)に実施された実証試験の結果が、エンジングループ内の全エンジンに対して認められる可能性のある改造のNOx排出レベルにおける影響を示している場合、グループの各エンジンの承認のための計測を要求することなく受入れることがある。
 
4.4.7 エンジングループの親エンジンの選択ガイドライン
 親エンジンの選択は、適用できる場合は4.3.9の基準に従わなければならない。しかし、多量生産のエンジン(エンジンファミリー)と同じ方法で少量生産のエンジンから親エンジンを選択することは必ずしも可能ではない。最初に受注したエンジンを親エンジンとして登録してもよい。エンジングループを代表する親エンジンを選択する方法は、主管庁による合意及び承認を必要とする。
4.4.8  主管庁はシリーズで製造されるエンジンに対し、最初のエンジングループの承認を認める前に、製品の要件への適合を有効に管理するために適切な措置が施されていることを確認するための必要な措置を講じなければならない。この要件は、EIAPP証書が発行された後の船上でのエンジンの改造を予定しているグループには適用する必要はない。







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