日本財団 図書館


6 ISO/TC作業計画の完成と実施に影響する要因
 ISO規格について国際海事業界での信頼を保持するに当たって最も重要なことは、それがIMOの規則又は要件と食い違いを生じないことを確保するということである。安全で、環境的に健全で、費用効果の良好な製品、設置、使用、維持及び管理に必要な情報を提供することにより、規則と一致する上に役立つならば、その規格は用い得るであろう。他の主要な要素は、「市場が要求するとき、規格が作成されていること」である。完全な文書でも時宜を得ていないものは、我々の高度に競争的な業界にあっては役に立たない。考えられている地域的指令というものがあるかもしれないが、いかなる規制も、IMOが持つような影響力は海運及び造船の業界にはない。
 
 資源(人的及び物的)の検討の際他所で述べたように、特定の専門技術は、業界又はIMOが必要とするプロジェクトにとって欠落してはいない。プロジェクトの作業に貢献しようとする上に専門技術が明らかに欠ける場合には、それを有用なものとするには何が必要かを明らかにするための追求を徹底的に行うか、又は当該作業項目を没とすることである。業界又は規定者がそれを欲しない場合は、それを行わないことである。(やってみても無駄な)演習みたいなものである。
 
 CEN及びEUに焦点が集められていることにより欧州側の参加が低下していることは、我々の利用し得る資源(人的及び物的)に痛手となっている。我々は、CENに志向するあまりその支持を低下させている1欧州国のあることに気付いた。更なる低下は、我々の広い基盤をある程度不安定とするおそれはあるが、危殆に墜れるというほどではないであろう。欧州政府(EU)がその業界のため全世界的商機を減らそうとしない限り、海運業と造船業の国際性にかんがみ、これは重要な意味をもったものであるとは思えない。欧州の船主の中には、アジアの造船者から現に買付けている者もある。欧州牙城という態度は、そのアジアの造船者との商取引を増やすよう欧州の船主による更なる移行に拍車をかけるであろう。国際的産業においては、内水航行船を別として、地域的規格及国内の規格は、業務向上の足を引っ張る。
 
 ISO/TC 8作業計画を完成させ、かつ、実施するに当り、SC(分科委員会)運営(議長及び幹事国による)において上層の業界指導者をより多用することは有意義なことである。TC 8におけるSCは、現在では大きく業界主導、業界推進となっている。
 我々は、規制団体と活発かつ積極的な関係を確保し、IMOと軌を一にしている。EC指令に関しては、欧州がIMOの要件に適合することを銘記することは重要なことである。
 
7 ISO/TCの機構、所掌及び作業計画
 このセクションは、ISO/TCの機構の概観、ISO/TC及び現在の分科委員会の所掌並びに現在及び計画されている規格化プロジェクト(その完成に向け必要とする資源(人的及び物的)を含む)の情報を示す。このセクションの目的は、事業環境及び重要関係人のニーズに関連し、提案された作業計画の適合性を明らかにすることである。規格化プロジェクトに直接責任のある機構のみを掲げてある。したがって、相互調整又は諮問のグループは、含めてない。議長、幹事国、所掌、作業グループ(WG)(コンビーナの氏名付き)の一覧、実施済みと実施予定のSCとWGの会議一覧、各分科委員会の作業状況詳細プログラム、IMO要件との関連を示す相関関係、及び関連IMO決議の索引は、ISO/TC 8N 1000附属書2として添付してある。ISO/TC 8N 1000は、ISO/CSからの年報を含むいくつかの文書(内容が重複していたり、時宜を得ていなかったり、正確さを欠いたりしていた)を「よりよい現在の情報と良好な計画管理のための内容相互調整ずみの1つにまとめた文書」に代えるものとして作成された。有用な管理運営の道具を確保するため、少なくとも6箇月ごとに情報を更新する必要があるので、このISO/TC 8N 1000は、基本計画の一部というよりは附属書2としてまとめられている。
 
 次表においては、所要担当時間は、TCとすべての分科委員会とにつき掲げてある。TC 8規格は、AFNORとIS/CSとの間の現行協定により「英語のみ」で処理されるので、翻訳に割り当てる時間はとってない。
 
ISO/TC 08(船舶及び海洋技術)
責任ISOメンバー:日本工業標準調査会(JISC/JMSA)
議長:Charles H. Piersall大佐(米国)
幹事:小郷一郎氏(日本船舶標準協会(JMSA−JAPAN))
 
所掌範囲:海洋航行船舶、内陸航行船舶、沖合構造物、船舶と陸上との取合い(インターフェース)、その他IMO要件に対応する海洋構造物より成る船舶の造船及び運行において用いられる設計、構造、構造部材、ぎ装品、装置、方法と技術、及び海洋環境関係事項の規格化
除外:
船舶及び海洋構造物の電気機器及び電子機器(IEC/TC 18及びIEC/TC 80)
内燃機関(ISO/TC 70)
石油及び天然ガス産業に用いる沖合構造物(石油及び天然ガス産業のための移動式沖合掘削及び居住構造物(ユニット)の現場での指定利用法を評価する方法を含む)(ISO/TC 67/SC7)
鋼及びアルミニウムの構造物(ISO/TC 167)
全長24メートル未満のレクリエーション艇その他小型艇(救命艇及び救命器具以外)の装置及び構造詳細(ISO/TC 188)
海底探鉱
船舶及び海洋構造物で用いる特殊でない装置(例 管、鋼製ワイヤロープ等)、及び正規の相互の連係が維持されなければならない特定のISO専門委員会の所掌範囲内の装置
ISO/TC8/SC1(救命及び防火)
責任ISOメンバー:アメリカ規格協会(ANSI)
議長:Claudio Abbate(イタリー)
幹事:Kurt Heinz(米国)
 
ISO/TC8/SC2(海洋環境保護)
責任ISOメンバー:アメリカ規格協会(ANSI)
議長:Joseph Angelo氏(米国)
幹事:Bivan Patnaik、米国沿岸警備隊(米国)
 
ISO/TC8/SC3(配管及び機械)
責任ISOメンバー:アメリカ規格協会(ANSI)
議長:Joseph Byme(米国MARAD)
幹事:Raymond Martin中佐、米国沿岸警備隊(米国)
 
SO/TC8/SC4(ぎ装及び甲板機械)
責任ISOメンバー:中国国家品質技術監督局(CSBTS)
議長:Tong Xiaochuan氏(中国)
幹事:Liu Zhen氏(中国)
 
ISO/TC8/SC5(船橋配置)
責任ISOメンバー:アメリカ規格協会(ANSI)
議長:Scott McCrory氏(米国)
幹事:Jack Roever氏(米国)
 
ISO/TC8/SC6(航海)
責任ISOメンバー:日本工業標準調査会(JISC/JMSA)
議長:飯島幸人教授(JMSA−日本)
幹事:竹内正敏氏(JMSA−日本)
 
ISO/TC8/SC7(内陸航行船)
責任ISOメンバー:ロシア連邦規格化度量衡国家委員会(GOST−R)
議長:Y. Rumiantsev氏(ロシア)
幹事:R. S. Gromov氏(ロシア)
 
ISO/TC8/SC8(構造)
責任ISOメンバー:韓国技術・標準機関(KATS)
議長:Jae Wook Lee氏(大韓民国)
幹事:Byeong Cheol Choi(大韓民国)
 
ISO/TC8/SC9(一般要件)
責任ISOメンバー:日本工業標準調査会(JISC/JMSA)
議長:有川彰一氏(JMSA−日本)
幹事:竹内正敏氏(JMSA−日本)
 
ISO/TC8/SC10(コンピュータ応用)
責任ISOメンバー:ノルウェー規格協会(NSF)
議長:Ornulf Jan Rodseth氏(ノルウェー)
幹事:Einar Braathu氏(ノルウェー)
 
ISO/TC8/SC11(インターモーダル及び短距離海運)
責任ISOメンバー:ルーマニア規格協会(ASRO)
議長:Rafael Gutierrez fraile氏(スペイン)
幹事:Jean Alexiu(ルーマニア)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION