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6. 運営体制の検証
6−1. 対象者
■対象となる元気度(リハビリと運動の区別)
・自立した生活を営む在宅高齢者
・介護保険制度における要介護認定を受けていない高齢者
 
6−2. スタッフ体制
■参加人数および体力レベルによる必要人員
・参加人数11名に対し、3名程度で対応
・要介護者がいなかったため、特定の個人への対応が不要であった
 
6−3. 実施条件
■講座を行う場合の留意点(期間/回数/季節/時間等)
・期間:3ヵ月は妥当である
・回数:本講座はモデルケースであり、通常の教室を運営する場合を考えると、週2回の頻度は多いと思われる。週1回もしくは月2回程度が適当である
・季節:特に問わないが、夏季や冬季においては室温に留意する
・時間:対象者に応じて、最も参加しやすい時間帯を設定する
・募集エリア:徒歩圏内または有効な移動手段の確保ができる範囲に設定する
 
6−4. 費用
■体力アップ講座に要した費用:計741,04円
・交通費:参加者−無料(徒歩圏内)、健診時の医師派遣に係る費用−3,700円
・施設利用:無料(自施設のみ)
・用具・器具:312,469円(ステップ台ほか、p30必要物品リスト参照)
・昼食代:52,935円(事前説明会および健脚度測定時≒735円×21名×3回)
・賃借料:42,000円(骨密度測定器、測定者の派遣含む)
・委託費:219,030円(出張健診の委託)
・消耗品:28,311円(ビデオテープほか、p30必要物品リスト参照)
・菓子代等:26,059円(茶話会に係る経費≒@1,000円×24回)
・その他:57,200円(協力者21名にトレーナー配布≒2,600円×21人)
 
6−5. 医師・リスク管理
■医師の基本的な役割
・緊急時(発作や突発的なケガ等の事故)の対応→医療機関への連絡
・健康診断による事前のリスクチェック(心電図等含む)
・参加者に対する安心感の付与
 
■主治医との関係(許可書提示)
・健康診断により不整脈と診断された2名について、本人のかかりつけの医師に本講座参加の是非を確認。
・参加者それぞれのかかりつけの医師から本講座参加の承諾を取り付けるプランを検討したが、医師がそのような承諾をするのか疑問であるというアドバイスを現役の医師(岩手)から受けたため、プランを断念した。
・参加者それぞれのかかりつけの医師から参加承諾を得ることは困難だとしても、運動プログラム内容の検討の際に、医療面からの視点を盛り込むことができるよう、B&G財団と連携できる病院(医師)を確保すべきであるというアドバイスを受けた。
 
■運動講座参加者の主体的参加の確保
・参加者の意思確認として、事前に「参加同意書」を記載してもらい、各人から同意を得た。
・事前の専門医による問診の結果、問題が発生する可能性のある参加者について、各々の主治医の意見を伺うこととし、改めて主治医から診断書を受けた。
・事故発生時の医師への連絡体制として、参加者の主治医をあらかじめ聞いておいた。
・B&G東京海洋センターの日常的な事故の対処を行う特定の医療機関との協力関係を確認した。
 
■疾病/ケガの際のリスク回避方法
・医療機関への連絡フローチャートを作成した。
・家族ほか要連絡関係者リストの作成と、全スタッフヘの周知を行った。
・救急法の資格保持者による指導を考慮した。
・本講座の実施前と実施後および毎回の運動講座開始前・終了時の血圧測定、さらに実施中の心拍数の計測を実施した。
 
■メディカル面での注意すべき点
・参加者は健康診断を定期的に受けているため、診断する内容を一部削除するなどして参加者の負担を軽減した。
・健康診断日の朝、薬を服用したか否かを参加者それぞれに確認した。
・降圧剤を服用している参加者の脈拍・血圧について注意した。
・毎回の各測定で異常が見受けられた者には、休息時間を与える等の対処を行った。
・毎回の測定値や参加者の声などから、運動プログラムの内容(強度、1運動当たりの継続時間等)を改善した。
・毎回の運動講座の休憩時、脈拍・疲労度(自己申告の自覚的運動強度)を測定した。
(1)目標心拍数=(220−年齢)×50〜70%と設定し、この範囲を超えないように注意してリスクチェックを行った。
(2)これと合わせて、「自覚的運動強度」を同時にチェックした(降圧剤服用者は心拍数が上昇しにくいため)。
・骨密度測定など、季節(温度)の変化に伴う体温変化により数値に影響が出ると懸念されるものがあった。
 
■高齢者の健康管理、接し方への配慮
・原則として、参加者の自由を尊重するが、腰を低くしすぎず、指導者としての毅然とした態度を心掛ける。
・毎回の運動講座開始前・終了時、および運動中の脈拍計測と自覚的運動強度を確認。
※降圧剤服用者は、運動負荷に対して脈拍の上昇が抑制されるため、脈拍計測に加え「楽である」「ややきつい」「きつい」等、15段階に分けられた表をもとに運動負荷に対する自覚度を確認する。「ややきつい」等自覚度が高い場合は、本人の意思を尊重しながら休憩を促すとともに、場合によっては指導者の判断で運動を中止させる。
・定期的な水分補給(一般的な運動指導の2〜3倍の頻度がめやす/90分で4回程度)。
 
■本講座に対する保険(施設保険)
・施設(B&G東京海洋センター)が加入している、施設利用者に対する保険
(1)賠償責任: スポーツ施設利用者対象(武道場含む)
身体1事故につき500,000,000円
身体1名につき100,000,000円
財物1事故につき1,000,000円
(2)傷害保険: スポーツ施設利用者対象(武道場含む)
本人死亡(1名)1,700,000円
本人入院(1名)2,500円/日
通院(1名)1,500円/日
 
6−6.講座運営にあたっての関係者
■身体教育医学研究所(長野県北御牧村)
・健脚度測定を開発した研究チームのひとつで、本講座の運営を全般的にサポートをしてくれた。特に、高齢者を運動指導する経験が少ない当プロジェクトチームのスタッフは、本研究所から、その対応方法について多くのことを学ばせてもらった。
・具体的には、9月3日のオリエンテーション時の講義、9月9日および12月9日の健脚度測定の運営・指導への、研究所スタッフの参加・協力が得られた。
・健脚度測定結果を個別に分析・フィードバックする「健脚度測定システム」の提供もあった。(※p35参照
 
■江東区地域保健課
・8月に保健課に電話連絡を入れた後、課長に面会。主旨を説明し賛同を得た。
・地域保健課から担当保健所の紹介を得た。江東区には4つの保健所があるが、地理的に該当する深川保健所ではなく、高齢者事業に取り組む城東保健所が推薦された。
 
■江東区城東保健相談所
・保健所長に電話連絡し、主旨の説明をして賛同を得た。協力依頼文書の提出を要請される。文書には、協力が必要な日を明記するよう指示を受けた。
・文書提出後、所長から電話にて2名の保健師を紹介された。(調整の上1名が対応)
・具体的に保健師の参加を得たのは、9月3日(健診・オリエンテーション)、9月9日(健脚度測定)、9月27日(運動教室の見学・体験、本講座に対する意見交換)、12月9日(健脚度測定、参加者への栄養指導〔約10分〕)であった。
・9月27日の意見交換で、より運動レベルの低い人達に対する取り組みが望まれていること、個別対応の運動プログラムが望ましいこと、本講座の運動プログラムは運動強度が高いこと等の意見が出された。また、当方から公民館等での出前教室の共催を提案したところ、民間との共催は前例が無いため出来ないとの返事を受けた。
 
■(財)ライフ・プランニング・センター(LPC)
・事前と事後に健康診断と専門医の問診を行う計画を立てた。当初B&G東京海洋センターと日常的に協力関係を持つ城東社会保険病院への依頼を考えたが、健康診断メニューを任意に選べず、不必要な項目が多かったため、組み合わせの選択が可能で参加者への負担軽減・費用の抑制を図ることができるLPCに依頼した。
・事前の健康診断では検査技師1名と専門医1名、事後は問診の必要がないことから、検査技師1名のみ派遣してもらった。
・検査技師と事前打合せを行い「健康診断問診表」「記入表」「結果表」の資料を準備した。
 
■(株)エルク・コーポレーション
・3ヵ月の運動では、骨密度の効果測定は期待できないとの見解をもっていたが、今回は実験であることと参加者へのサービスを勘案し、本講座実施前後に測定した。
・インターネットで業者を検索し問い合わせた。1社のみであったが、交渉の結果安価に抑えることが出来た。
・当日は、測定器と共に営業担当者も来訪し測定してくれたが人件費は無料であった。
 
■古野電気(株)
・骨密度測定器のメーカーで、(株)エルク・コーポレーションが販売を行っている。エルクの仲介により本プログラムの主旨に賛同し、本講座実施前の測定時にエルクと同行し、デモンストレーションとして機器の提供と測定を無料で実施してくれた。結果、骨密度測定は本講座終了時の1回の機器レンタル料のみの負担で済んだ。
 
6−7. 必要物品
表6−1 必要物品:健脚度測定(20人の場合)
物品 個数 物品 個数
ステップ 2台 パソコン 1台(入出力用)
マットor畳 4畳程度 コピー用紙(健脚度結果用) 人数×3+α
ラインテープ 1巻 身長計 1台
はさみ 1本 体重計 1台
メジャー(15m程度) 1本 血圧計 10人に1台以上
メジャー(150cm程度) 2本 冷水機 1台
30cm定規 2本 コップ 人数分
ストップウォッチ 1個 ストレッチマット 人数分
手旗 1本 カセットデッキ 1台
人数÷2+5台 カセットテープ 1巻
椅子 人数+5脚 在宅メニュープリント 人数分+α
測定記録用紙 人数分 タオル(ストレッチ補助用) 人数分
問診表 人数分 電源ケーブル(延長コード) 1本
筆記用具 人数分+α バインダー 2枚以上
虫めがねor老眼鏡 人数÷3個 名札(シールタイプ) 人数分+α
 
表6−2 その他:年間を通じて必要な物品
物品 個数 物品 個数
セラバンドチューブ(黄、赤) 人数分 ビデオデッキ 1台
ジュニアボール 人数分 ビデオテープ 適宜
在宅ファイル 人数分 ホワイトボード 1台
骨密度測定器 1台 ビニールテープ 適宜
体脂肪率測定器 2台 玉ヒモ 適宜







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