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5. 運動プログラムの検証
5−1. 指導者からみた課題・考察
・満足度を上げようとすると、運動強度が高くなってしまい、体力レベルの低い者には少々きつかった種目があったようである。
注:参加者の声− 講座半分を過ぎた頃、少し疲れが出てきた。エアロビクスが少しきつかった。
・体育館等で行う場合、広いスペースで実施できるというメリットはあるが、寒さ対策が課題としてあげられる。
・栄養指導も多少行ったが、日常生活に導入できたかどうかはわからなかった。
・1人では運動を継続できないという声も多くあがっており、グループ(サークル)をつくるなど、本講座終了後も運動の継続性を維持できる働きかけを考えるべきであった。
・今回は検証実験的な実施であったため、参加者は受身で、指導者・運営者側に依存する傾向になってしまう面があった。
(※運動講座実施のトライ&エラーに関する詳細はp24、25参照)
 
5−2. 参加者からの意見・感想
・曜日の希望は特にないが、開始時間が9:00というのは早く感じる。
・午後よりも午前の方が都合が良い。
・運動強度は少し物足りないくらいで、ちょうど良かった。
・耳が遠いので大きな声でしゃべってほしい。
・体力アップ講座を継続してほしい(たとえ有料でも)。
・体力アップ講座は、非常に良かった。
 
チェアビクス
 
表5−1 運動講座実施のトライ&エラー
項目 事例 検討結果
血圧測定 トレーナーの上から計測する場合、正確な値が計れないことがあった Tシャツを着るなどして参加者に腕を計測しやすいように協力してもらった
心電図 リスクファクターをもっている参加者が判明した 該当者の主治医の許可を得た
ストレッチ 腕をあげる動作があり、疲労してしまう人が多かった 各ストレッチ(特に上半身)の後に肩回しなどしてリラックスさせた
ストレッチを正確にできない人も見受けられた ストレッチの種目、量、順番など、参加者の顔色を見ながら随時変更した
体力レベルの低い者には少しストレッチの時間が長かった ストレッチ体操を構成する際、ニーズ(レベル)に合わせて、簡単なものを選び、種目数なども制限した
歩行運動 全体として運動強度が上昇しがちだった 満足度を上げ、運動効果を重視すると強度、量が増えるので少し強度を落とした
横歩行は、膝をあげすぎて運動強度が高くなってしまった 横歩行の練習では、あまり膝をあげないように指導し、運動強度を低くした
横歩行・大股歩行は、膝が悪い人には運動強度が高くなってしまった 全体として、膝の曲げ伸ばしをゆるくするような声かけをして、膝が痛む人にはこの運動だけ休憩してもらった
大股歩行では一歩ずつだと運動強度が高くて難しかった 一歩足を出したらそろえるようにして、無理なくゆっくり行わせた
運動講座途中(14回目)に健脚サーキットを実施したら、踏台昇降のコツを忘れている人が多かった 歩行運動のメニューに踏台昇降を取り入れた
筋トレ 筋トレのチューブを使用する際、両サイドのチューブの締め方がわからない人がいた あらかじめチューブの両サイドを指導者が巻くようにした
運動遊び 運動遊びのオセロ(床で行うボードゲーム)は夢中になりやすく、高齢者には運動強度が高かった プログラムを変更した
運動遊びのサークルボール蹴りは単調になりやすかった プログラムのバリエーションを多くした
運動遊びは夢中になると時間がかかってしまった 運動時間、運動強度ともに8割程度に抑えた
さいころゲームは好評だったが、個人名などを表に入れたため、各自に負担がかかってしまった 表は空欄にし、指導者からの指名、あるいはジャンケンで決めた
プログラムにより、個人の体力レベルの差が出てしまった 運動遊びを考案するときは、体力レベルの差が出ないものにした
文字合わせは、オセロ(床で行うボードゲーム)同様、腰・膝の曲げ伸ばしがきつく、高齢者には運動強度が高かった プログラムを変更した
幼児プログラムにある音楽体操(リズム運動)の導入を試みた 予想以上に好評で、プログラムとしてマニュアルに反映できそうであった
リズム運動の際、やや高齢者には動きが速くなってしまった ピッチを落とした音楽テープを準備した
チェアビクスは、外部講師と指導者との事前打合せが足りなかったため、特に筋力面において運動強度がやや高くなってしまった 外部講師に依頼する時には、こちら側の意図を明確に伝えるだけでなく、参加者ともレッスン以外にコミュニケーションを取ってもらうようにした
チェアビクスは、全体の時間が長く、途中で休憩が取りにくかった 上半身だけの運動を取り入れて下半身を休ませるプログラムに変更し、全体の時間を短くした
チェアビクスは椅子が密集していたため、途中の水分補給など、自由に休みづらい雰囲気があった 椅子の間隔を広げ、休みやすい環境づくりを心がけた
青竹ビクスは、青竹を勢いをつけて踏みつけてしまうため、刺激が強すぎて危険だった 足裏の毛細血管、静脈瘤への負担が大きすぎるので、プログラムをマット上でのステップに変更した
ボール送りの際、体をひねってボールを送る場合、腰痛を引き起こす恐れがあった 腰だけでなく、体全体でひねるようにアドバイスした
その他 運動強度がやや高いプログラムを同じ日に入れてしまい、総体的に運動強度が高くなってしまった 全体の運動強度のバランスを考慮するようプログラムを改編した
 
チューブトレーニング







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