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3.3 Brodogradiliste Kraljevica
 1729年に設立されたKraljevica造船所は、クロアチアで最も古い造船所である。同造船所の現在の従業員数は、内戦前の1/3の425人となっている。造船所は、特殊船、艦艇、商船の3部門に分かれている。同造船所では、1950年から2000年にかけて、ユーゴスラビア、北欧、インド大陸及び旧ソ連の船主向けに約90隻の商船を建造している。注35 しかしながら、この期間の後半は商船の建造は低調となり、1995年以降は国内船種向けのフェリーが1隻建造されただけとなっている。
 
 クロアチア造船会社のメンバーとなったものの、同造船所では1万DWT以上の船舶の建造ができないため、他のメンバー造船所間で大型商談が分割される時もこれに参加できていない。しかしながら、最近の情報では国内船主のLosinjska Plovidba向けに2隻の多目的船を受注したとされている。また、クロアチアの企業向けにタグ2隻の受注も内定している模様である。過去にKraljevica造船所では国内船主のJadrolinija向けにフェリーを建造しているが、同社は政府支援の下で1億$の船隊更新計画を有しており、今後の新造船発注が期待される。
 
 1950年代半ばから1980年代末にかけて、Brodogradikiste Kraljevicaはユーゴスラビア政府向けの艦艇建造を広く手がけていた。1950年から1991年の間に、砲艦、警備艇、小型駆逐艦などの水上艦80隻が建造されている。
 
 内戦の終了は、同造船所の新造船事業に深刻な影響を及ぼし、ユーゴスラビアの崩壊が状況を更に悪化させた。経済問題の中でクロアチアの艦艇建造資金は限られており、造船所が抱える問題を長引かせることとなった。Kraljevica造船所では現在、クロアチア海軍向けに誘導ミサイル艦1隻を建造中であるが、1992年以降の艦艇建造隻数は1隻のみである。結果として、現在、Kraljevica造船所は船舶修繕・改造を中心に事業を行うこととなっているが、大型船収容能力の不足がこれにも影響している。修繕設備で収容できる最大船型は25,000DWTであり、世界の商船の大部分の仕事を取ることができないでいる。また、地中海の他の修繕造船所が近接しており、仕事が確保できるとしても、厳しい競争が存在している。同社の最大の修繕顧客は国内船主のJadrolinijaで、同社の年間の修繕売上5〜6百万$の中で2百万$を占める。
新造船設備
 Kraljevica造船所では、2基の船台を用いて船舶の建造が行われており、1基は全長100mまで、他の1基は1万DWTまでの船舶を建造できる。船舶の建造は、工場立屋又は2隻を同時建造できる屋根付き船台で行われている。また同造船所は、船舶修繕・改造用に8.5千トン及び1.1千トンの浮ドック2基を有している。








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