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3.2 Brodotrogir
 Splitに近いCiovo島にある現在のTrogir造船所における造船の歴史は、20世紀初めに遡る。1946年には国有化され、1960年代初め以降は小型タンカー等の商船の建造にのみ従事するようになった。1970年代からは、浮ドックをはじめ、不定期貨物船、小型フェリーなど国際市場の外航船を手がけるようになった。この30年間の建造実績は、内外の船主向けのパナマックスまでの油タンカーや後半ではケミカルタンカーに集中している。
 
 内戦で、新造船事業は大きく落ち込み、1992年〜1993年は1隻の竣工もなかった。それ以降、徐々に回復してきてはいるが、竣工隻数は内戦前の年間4〜5隻に比べ、年間2〜3隻にとどまっている。実際、1991年〜1995年に同造船所で竣工した船舶は3隻のみであったが、1996年〜2000年には、ハンディマックスの原油・ケミカルタンカーを中心に、マルタのAurora Holdings向けの9,700DWT多目的貨物船など8隻を建造しており、幾分回復を示してきている。この他、数は限られているが、1990年代には自動車運搬船、AHTS支援船、港内タグなども建造している。
 
 内戦前はTrogir造船所で建造される船舶の約90%はソ連の船主を主体に外国船主向けであった。独立後は、ロシア及び欧州船主から受注している。近年では、ロシア船主から数隻の受注を獲得している。Novoshipからクロアチアで受注した10隻の39,600DWTプロダクトタンカーの内の2隻を建造したほか、これ以前にも同船主から同様の船舶を2隻受注している。1990年代末にも、同造船所はハンディサイズ・ハンディマックスのプロダクトタンカーやケミカルタンカーの商談獲得を続けたが、競争力不足に悩まされた。注34 2000年9月には、スウェーデンのLaurin Maritimeから2隻の耐氷型のIMOタイプIIの47,400DWTケミカルタンカー2隻を受注し、この分野で3年ぶりの受注となった。これらは、14のエポキシ塗装の貨物タンクを有し、8種類の貨物が同時積載可能となっている。船価は1隻31百万$とされている。その後、2隻のオプション追加が行われ、2001年4月には、同船主から更に追加の2隻の発注が行われた。現在のところ、建造工事は予定どおり進んでおり、船主も作業の質に満足しているように見受けられる。これらの受注で、2004年まで手持ち工事が埋まっている。
 
新造船設備
 Trogir造船所では、2基の船台を用いて55,000DWTまでの船舶の建造が行われている。また同造船所は6万トンの能力の浮ドック2基を有している。なお、最近建造された最大の船型は、約48,000トンにとどまっている。








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