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V 人事考課制度
*人事考課は97.8%の企業で実施
*2割の企業で自己評価を導入
*評価者訓練は8割近くの企業で実施
*61.4%の企業で考課基準の公開、考課結果の公開は37.9%
*コンピテンシー評価は2割の企業で導入
1. 人事考課制度の実施状況〔第19図参照〕
 「人事考課を行っている」と回答した企業は回答企業全体の97.8%(平成10年の調査では98.3%)、「人事考課を行っていない」と回答したのは2.2%(同1.7%)であり、ほとんどの企業では人事考課が一般的に行われていることがわかった。
第19図 人事考課表を用いた人事考課の実施状況
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2. 人事考課の評価者〔第20図参照〕
 「人事考課を行っている」と回答した企業に対して、その評価はどんなポストの者が行っているのかと複数回答で尋ねたところ、「直属の上司」が99.3%と圧倒的に高いが、その他に目立ったものとしては「自分自身」(いわゆる「自己評価」。)と答えた企業が21.6%あり、年俸制の導入も含め、年度当初等に自分自身の目標を設定し、それに対してどれだけの成果をあげたかを自分自身でも評価するという新しい評価システムが徐々に浸透しつつあることが伺える。
第20図 人事考課の評価者(複数回答)
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3. 評価者の訓練〔第21図参照〕
 人事考課の評価者に対して何らかの訓練を行っているかどうかについて尋ねたところ、「行っている」が78.3%と回答企業の8割近くに達しており、「行っていない」企業の割合は21.7%であった。企業における賃金制度は年俸制に代表されるように、能力・業績主義へと移行してきており、その評価についても客観性の高いものが求められていることの現れであろう。
第21図 評価者訓練の実施状況
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4. 人事考課の公開制度〔第22図参照〕
 人事考課の「考課基準を公開している」企業の割合は61.4%で、「考課結果を公開している」が37.9%、「公開制度はない」が26.9%となっている。特に注目すべきは「考課結果を公開している」が複数回答とはいえ40%近くを占めていることであり、企業では公平で透明性のある人事考課制度を目指しているということの現われと思われる。
第22図 人事考課の公開制度(複数回答)
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5. 人事考課の使用目的〔第23図参照〕
 人事考課については業績評価と人材評価といった2つの観点での評価が一般的に考えられているが、人事考課の結果をいかにその目的に沿って活用するかが人事管理制度の根幹をなすものと考えられる。そこで人事考課の結果の活用内容について複数回答で尋ねたところ、「昇進・昇格」が回答企業の95.5%で最も高く、以下「昇給」94.1%、「賞与」89.6%、「人事配置・異動」49.8%となっている。この結果から推測するに従業員の勤務状況、勤務実績などといった業績評価の部分については、十分に反映させているようだが、適材適所に「人事配置・異動」を行うといったいわゆる人的資源の有効活用などといった人材評価の部分については、まだシステムの整備が至っていないということがうかがわれる。
第23図 人事考課の使用目的(複数回答)
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6. コンピテンシー評価
(1) 導入の状況〔第24図参照〕
 コンピテンシー(高い業績をあげる者が恒常的に成果をあげる行動特性。外面的な技、知識のみならず心の内面の動機、使命感、性格などの全体的特性をいう。)評価の導入状況は「導入している」が20.3%、「導入を予定している」が9.8%で合わせて約30%あったほか、「検討中」も37.3%と企業におけるコンピテンシー評価の関心度はかなり高いが、一方、「導入しない」と明言している企業は32.6%であった。
 
(2) 評価結果の活用内容〔第24図参照〕
 コンピテンシー評価を導入している企業に評価結果をどのように活用しているかについて複数回答で尋ねたところ、「昇格の基準」として活用していると回答した企業の割合が50.6%と最も高く、「育成の基準」が47.0%、「昇給の基準」が38.6%、「新卒採用者の適性判断」が34.9%、「人事配置の基準」、「管理職への登用基準」がそれぞれ31.3%となっているなど、コンピテンシー評価は人事制度全般にかなり幅広く活用されている様子が伺える。
第24図 コンピテンシー評価の導入状況とその活用内容(活用内容は複数回答)
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