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II 早期退職優遇措置制度の導入状況
*この1年に3割の企業で早期退職優遇措置を導入
*40歳以上の社員を対象とする企業が多数
*導入企業の4分の1では正社員の5%以上に相当する者が制度を利用して退職
1. 過去1年間における早期退職優遇措置制度の導入状況〔第3図参照〕
 この1年間に早期退職優遇措置制度を「導入した」企業の割合は30.0%と回答企業の3割で導入していた。また、今後「1年間以内に導入の予定」の企業が2.6%、「検討中」の企業が11.8%となっており、これらを合わせると44.4%にのぼっている。この制度の特色として、長期にわたって継続的に運用するよりも短期的に人件費を圧縮することが目的であり、これ以前に導入した企業のことも考慮すると、この制度を導入し、又は導入を予定している企業は過半数に達するものと思われる。
第3図 過去1年間における早期退職優遇措置制度の導入状況
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2. 早期退職優遇措置制度の適用制限〔第4図参照〕
 過去1年間に早期退職優遇措置制度を導入した企業及び導入を予定している企業に制度適用者の条件があるのかを聞いたところ、適用制限を「年齢と勤続年数の両方」に設定している企業が52.3%、「年齢制限のみ」が38.4%であり、適用に当たって年齢を条件としている企業の割合が9割を超え、「いずれの条件もない」は僅かに4.7%であった。
第4図 早期退職優遇措置制度の適用制限の有無
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3. 早期退職優遇措置制度の適用制限の内容〔第5図参照〕
 早期退職優遇措置の適用制限の有無については前記のとおりであるが、年齢制限については、その下限年齢を「40歳以上50歳未満」の間で設定している企業が43.3%、「50歳以上」で設定している企業が45.9%であり、40歳以上の中高年労働者をその対象としている企業の割合が9割程度あった。この制度がいかに人件費コストの高い中高年労働者の削減を目的として導入されているかがわかる。一方、勤続年数による制限については、その下限となる勤続年数を「勤続10年以上20年未満」の間で設定している企業が46.5%、「勤続20年以上」で設定している企業が37.2%であり、優遇措置の適用に当たって、10年以上の勤続を必要とする企業の割合が8割を超えていた。退職金の割増などの優遇措置を適用するに際しては、少なくとも10年程度は企業に貢献してもらいたいということであろう。
第5図 早期退職優遇措置制度の適用制限
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4. 過去1年間の早期退職優遇措置の利用者割合〔第6図参照〕
 過去1年間に早期退職優遇措置制度を導入した企業において、同制度を利用して退職した者の人数と当該企業における正社員数との比率をみると、「1%未満」と回答した企業の割合が28.8%と最も高く、次いで「1%以上2%未満」が27.3%となっており、2%未満の企業が56.1%と全体の過半数を占めている。反面、「5%以上10%未満」の企業が10.6%、「10%以上」の企業が16.6%と、正社員の5%以上に相当する人数の者が早期退職優遇措置を利用して退職している企業が回答企業の4分の1以上あるなど、企業によってかなり差が生じている。
第6図 過去1年間における早期退職優遇措置制度の割合
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