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[65] 船体上部構造用電磁式アクティブ制振装置の開発
武田 裕, 楠本裕己, 岩崎 到, 小池裕二(IHI)
 
 船体上部構造の振動は, 一般的に複数の振動数成分の重ね合わせとなり, また振幅変動や位相変動が発生する等の特徴がある。したがって上部構造の制振装置は, 振幅変動や位相変動に追随でき, なおかつ複数振動成分に有効に機能できるものでなければならない。今回船体上部構造の振動を効果的に抑制する装置として, 電磁コイル式アクチュエータを用いたアクティブ制御方式の制振装置を開発し, 実船試験にて振動レベルを1/2から1/5に低減できることを確認した。本方式では装置の小型化, 静粛化など多くの利点がある。

制振装置作動/非作動時の撒積貨物船の上部構造6次前後振動
[66] ハイブリッド減揺装置の北太平洋における運用結果
月岡 哲(海洋センター), 門馬大和(日海事)
竹内倶佳(電通大), 上田 聡(海洋センター)
 
 ハイブリッド式舶用減揺装置は大型船として初めて海洋地球研究船「みらい」に搭載された。減揺装置の実海域での運転状況を調査するため, 減揺装置運転データ, 波高計データおよび風データを連続記録した。本論文では, 船体動揺角度と減揺装置の可動質量変位の関係を求めた。実海域データから船体横揺れ角度と可動質量変位の関係を明らかにして減揺装置の能力を求めた。その結果, 減揺装置はシーステート6までの海象で能力を発揮し, 可動質量の変位にまだ余裕があることがわかった。荒天時も含め航海日数の約60[%]で連続運転でき, 高い信頼性を持つことが実証された。

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可動質量の運動計測結果
[67] ハイブリッド減揺装置の電力と動揺抑制力
月岡 哲(海洋センター), 竹内倶佳(電通大)
 
 ハイブリッド式舶用減揺装置は大型船として初めて海洋地球研究船「みらい」に搭載された。本論文では, 可動質量はモータによって, 船体横揺れとほぼ同期して加減速を繰り返し, 加速時は電力を消費し, 減速時はモータが発電機として作用することがわかった。実海域データから, 発電される電力は消費電力よりやや大きく, 電力を回生すれば, わずかな電力で船体横揺れを低減させる可能性を明らかにした。また, モータによる制御力と円弧状レールの復元力による制御力を比較した結果, 前者のほうが大きいことがわかった。

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減揺装置モータの最大消費電力最大と回生電力
[68] 有限被覆法による板曲げ不連続体解析法の開発
鈴木克幸, 藤井大地, 大坪英臣, 吉田博俊(東大)
 
 氷板の崩壊挙動の解析のため, 有限被覆法を不連続体, 板曲げ解析に拡張した。Shear Lockingを回避するため, 応力仮定法を用いた3次元ソリッドにより定式化を行い, 要素のアスペクト比が大きい場合でも精度よく解析が行えることを示した。また, 不連続面を表現する方法を示し, それらをペナルティバネで結ぶことにより亀裂の進展を表現できることを示した。

2次元氷板モデルの崩壊進展パターン








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