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[57] チタン薄板溶接継手の疲労強度
松岡一祥, 岩田知明(海技研)
 
 海水用配管, 上部構造等への使用を想定して, 純チタン薄板溶接継手の疲労強度について検討した。疲労試験結果を修正MIL-HDBK-5法により整理し, 溶接残留応力と構造的応力集中を考慮した等価応力による評価では, 純チタンTIG溶接継手の疲労強度は, 鋼MIG溶接継手のそれと遜色がなかった。

純チタンと鋼の溶接継手疲労強度の比較
溶接残留応力と構造的応力集中を考慮した等価応力あるいは負荷最大応力で比較している。FSは疲労強度を, Proofは97.5%生存線を示している。図中には, JIS2種純チタンの規格耐力215MPaが併記されている。
[58] 圧縮予ひずみを受けた鋼材からの延性・脆性破壊発生挙動
吉成仁志, 榎並啓太郎(東大)
小関 正, 島貫広志, 粟飯原周二(新日鐵)
 
 圧縮予ひずみ材の切欠丸棒引張試験, 破壊靭性試験及び逆曲げ試験と, それに対応する数値解析を実施し, 圧縮予ひずみ材からの延性・脆性破壊発生挙動を定量的に評価した。延性破壊発生は, 応力三軸度一限界相当塑性ひずみで表される延性破壊発生限界曲線で評価できることを確認した。また, 脆性破壊発生は, 局所限界へき開破壊応力条件で評価できる可能性を示した。

逆曲げ材の応力三軸度―最大主応力履歴図
[59] 統計力学を応用した破壊靭性値の評価指数に関する研究
豊貞雅宏, 後藤浩二, 中山 伸(九大)
 
 破壊靭性値に及ぼす試験片幾何学形状の影響および同一試験条件下で得られる破壊靭性値のばらつきを評価するため, 固体の格子振動に起因する系の自由エネルギーと密接な関係を有する新しいパラメータFnを, 統計力学の手法を用いて導出した。
 そして, 破壊発生領域におけるFn値を用いて三点曲げ試験片による破壊靭性試験結果を整理した結果, Fn値は破壊靭性値を律する一義的なパラメータとなりうることが判明した。

[60] 構造用鋼の切欠き底表面からの延性き裂発生特性に及ぼす強度的不均質の影響
安 圭栢, 吉田聡司, 大畑 充, 豊田政男(阪大)
 
 鋼材の延性き裂の発生条件の定量的評価に適用されている相当塑性歪と応力多軸度の2パラメータを用い, 切欠き底表面からの延性き裂発生条件に及ぼす強度的不均質の影響および動的負荷の影響について, 三点曲げ負荷による浅いV型切欠き試験片の実験および熱一弾塑性FEM解析により検討した。その結果, 静的および動的曲げ負荷による切欠き底表面からの延性き裂発生限界は強度的不均質の影響を受けず, 丸棒試験で得られた試験片表面からの延性き裂発生タイプとして限界相当塑性歪で整理できることがわかった。

静的・動的荷重下での切欠き底表面からの延性き裂発生条件と強度的不均質の影響








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