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[5] 仮想粒子モデルによるCFDにおける限界流線の可視化法について
白山 晋, 大和裕幸(東大)
 
 限界流線は船尾縦渦の形成と深く関連していると考えられている。その形状を視覚化するための様々な方法が, 実験やCFD計算において提案されている。実験の場合はトレーサーの追従性が問題とされるが, CFDの場合は, 船体まわりの流れ場の詳細な空間情報が獲得できることから可視化手法に対する問題点が指摘されることは少ない。しかしながら, 可視化誤差による定量性や重複表示などの表示法に起因する問題が生じることがある。本稿では, 全体から詳細へ至る階層的な可視化法を提案し, 表現に優れ, かつ誤差の小さな限界流線表示手法を提案する。

PEMによる限界流線表示と3次元流線の同時表現(回転楕円体後方の流れ場:Re=10000, α=11°)
[6] 翼型の非定常キャビテーションとre-entrant jetの研究―実験とCFDによるアプローチ―
薬師寺涼(防衛庁), 山口 一, 川村隆文, 前田正二, 迫田我行(東大)
 
 翼型に発生するシート・クラウドキャビテーションを引き起こすre-entrant jetの特性を調べるために, 透明なアクリル翼を利用して, 高速度ビデオによる上下同時観察などを行った。その結果, jetが十分な厚さを持ったときに, シートキャビティが切断されると考察した。また, 汎用CFDコードのSTAR-CDを利用して2次元翼でクラウドキャビテーションが発生する様子を過渡的ではあるが再現した。この結果についてクラウドキャビテーション発生のメカニズムを考察した。

シートキャビティ切断の4つのパターン
[7] VLCC及びコンテナ船の大波高中における運動・波浪荷重に関する実験的研究
三宅竜二(NK), 朱 庭耀 (NK), 影本 浩 (東大)
 
 大波高波浪中を航行する船舶の運動や船体に働く波浪荷重の非線形性を詳細に調査し, そのメカニズムを考察すると共に, 現在開発中の非線形計算法の比較・検証データを得ることを目的として, 大型タンカー(VLCC)とコンテナ船という大きく船型が異なる二隻の実用船舶模型を用いて, 模型船と波との出会角・出会周波数・入射波高を系統的に変化させ, その中を航行する当該模型船の運動・波浪荷重及び船体15箇所における波浪変動圧力を計測するといった従来にない詳細な水槽試験を行った。

The asymmetricity of the vertical bending-moment of the Container Ship Model(χ=120deg.)
[8] 甲板打ち込みを伴う大波高中の肥大船に働く波浪荷重に関する研究(第1報 模型水槽実験)
松波亮樹, 熊野 厚, 朱 庭耀, 林 竜也(NK), 影本 浩 (東大), 谷澤克治, 小川剛孝, 南真紀子 (海技研)
 
 甲板打ち込みを伴うような大波高中において船体に働く波浪荷重を精度良く推定する方法は未だ確立されていない。 そこで本研究では大波高中における荷重特性を把握し, 高精度で定量的な荷重推定法を確立するためのデータを収集することを目的として, 入射波高(最大で14m), 波周期, 波向きなどを系統的に変化させて模型実験を行った。 その結果,波浪荷重の非線形性はRollの非線形性に加えて,Pitchの非線形性の影響も大きいことがわかった。

(拡大画面: 36 KB)
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Relative water height at stem and Pitch(regular head seas)








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