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平成13年秋季講演論文概要
[1] ポテンシャル流中の揚力体の一数値計算法
小山鴻一(海技研)
 
 ポテンシャル流中の揚力体の数値計算法として, 揚力体形状及びポテンシャル値をスプライン関数を用いた連続関数で表して, 境界積分方程式を数値積分により厳密に解くContinuous Methodを提案した。数値積分を精度良く計算するために, 被積分関数の特異性を調べ, 自動数値積分計算法を導入した。球・偏平楕円体やKarman-Trefftz翼型の計算において, 解析解との比較により計算精度を調べた。次に円形翼の計算において, 従来法や実験値と比較し, 揚力面理論やパネル法の計算よりContinuous Methodの計算の方が計算精度が高いことを示した。下図の計算結果は, 迎角5度の円形翼の翼端近くの翼断面における圧力分布である。

[2] マルチブロック格子法によるトランサム船尾周りの造波粘性流場計算
高田憲尚(三菱重工)
 
 マルチブロック格子法を適用した造波粘性流場計算法"NEPTUNE-M"を開発した。3タイプのブロック間情報交換法について検討した結果, "BJ-SGS"法が最も収束性に優れ, 単一格子の計算結果と同等であった。実用問題への応用として, トランサム船尾を持つコンテナ船及び高速船の造波流場解析に適用した結果, "Wetted-", "Dry-transom"何れの場合もトランサム後方の波高分布を高精度に推定可能であることが示された。

高速船のトランサム後方の波高分布
[3] DNSとLESによる成層中一様せん断乱流シミュレーション
片山智喜(トヨタ), 佐藤 徹, 佐藤 圭(東大)
 
 成層した一様せん断乱流をDNSにより解き, 成層による非等方的な乱流抑制を確認した。またこの流れ場に, いくつかのLESモデルを応用し総括的に比較した。LESモデルには, Smagorinskyモデル, Dynamic SGSモデル, Stress Functionモデルという等方性モデルの他, GNSモデル, Dynamic GNSモデル, DTMモデルなどの非等方性モデルを用いた。非等方性モデルは等方性モデルに比べよりDNSに近い結果を出力し, 特にSGS応力成分に関して, DTMモデルがよくDNSを再現していることを示した。

(拡大画面: 32 KB)
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SGS応力成分の比較。Re=27f0, Ri=0.2。 (左:Gaussian Filtered DNS, 右:DTM)
[4] 比較空間を用いたCFDシミュレーションのデータ比較に関する研究
白山 晋, 斎藤幸二郎, 大和裕幸, 増田 宏, 安藤英幸(東大)
 
 CFDを用いた船型設計の普及にともない, 膨大な数値データが生み出されている。このデータの活用が設計システムの高度化の鍵となっている。一方, 一部分のデータのみが利用され大部分が棄却されているという現状がある。データの信頼性が実験や他の計算結果との比較によって評価されることが多いので, データの定義点が異なる場合, 比較プロセス自体が難しくなるためである。本研究では, 定常・非定常CFDシミュレーション結果に対するデータ比較について考察し, 比較空間という概念を提案する。また, 可視化技術を応用することで定量的な比較を行うためのシステムを実装する。

91×91と81×81の円柱を過ぎる流れの差分解の比較(左図),
111×111と101×101の差分解の比較(右図)








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