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図1.3(1) 平均年齢の推移(普通会員)
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図1.3(2) 平均年齢の推移(賛助会員)
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図1.4(1) 勤続年数の推移(普通会員)
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図1.4(2) 勤続年数の推移(賛助会員)
 対して、賛助会員の方は、この6年間でやや下降気味で、勤続年数も横ばい、ないしやや下降気味である。
 これらのことから、規模の大きな賛助会員では若年者の採用がある程度進んでいるが、普通会員では余り進んでおらず、高齢化が進んでいることを物語っている。
(注)本章で使用した統計資料は、すべて旧(社)日本中型造船工業会(現(社)日本中小型造船工業会)調査「会員会社労務状況」による。
[2] 複合職(多能工)化
 従来、生産性向上策として専門単一職化を図ってきたが、主体作業を行う職種に、前後の作業もすべて任せる複合職化を図るようになってきた。例えば、小組立溶接職に、部材の配材、組立、そして作業完了後の完成小組立品の次工程への搬送までを、一括して任せることにより、職種間のアンバランス、能率の違いによる手待ちを回避して、少しでもムダを省こうというものである。
[3] 即戦力指向:新卒より、経験者を中途採用
 新卒者は相応の教育・訓練コストと期間を要し、また定着率の面で教育効率が悪いので、これを回避したいとの希望がある。しかし、力のある協力会社では、将来をみすえて新卒者を採用しているが、教育・訓練費用の負担に苦慮している。さらに言えば、地域内に豊富な造船技能者がいることが前提であり、そうでない地域では、定年退職者の補充を新卒者に頼らざるを得ない。この場合、新卒者の技能教育・訓練、早期育成が重要課題になる。
[4] 外国人研修生の採用
 国内外の賃金差が大きいことに鑑み、外国人研修生を受け入れ、彼らを活用する。このような施策には、当然のことながら裏面(短所)もある。例えば、
a. 周辺の作業を過度に複合化すると精力が分散されて、特殊技能(現図、撓鉄、船台位置決め、機関仕上げなど)の維持・向上が困難になる恐れがある。さらに、これらの特殊稀少職種は、高齢化が進んでいて、技能伝承上の問題もある。
b. 下請け依存率が高まるにつれ、工程、品質も小規模、零細な発注先企業の経営管理レベルに依存することになり、造船所側の技能維持の責任があいまいになりかねない(懸念)。
(注)調査した協力会社の規模は、平均すると1社あたりおおよそ6〜7人であった。
c. 複合職化により、要求される公的資格・免許、あるいは所要の講習受講義務が増大し、個人の負荷が高まるとともに、協力業者の雇用費用を増大させる恐れがある。
d. 以上により目先の対応に追われると、長期的な生産性向上施策がないがしろにされる恐れがある。
などである。
 中小造船所の経営管理者は、もちろんのこと、このような施策に伴う短所は十分認識している。しかし、それにも増して昨今の需要減退、低船価という造船経営環境が「背に腹は変えられない、選択余地のない選択」を強いていると推測される。








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