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おわりに

 

海上運送される危険物や特殊貨物は極めて種類が多く運送に係る要件も多岐にわたっている。従って、多くの技術分野の専門家集団により、海上運送に関する検討がなされ安全策を講じている。日本の代表としてIMOに参加している団員は、多くの技術分野の専門家集団により検討された的確な結論を基に立脚された意見を述べ討議に参加している。すなわち、IMOでの議論の前に、日本において専門家集団による十分な情報交換、議論、分析、検討、そして結論付けがおこなわれていなければならない。このような、組織化された専門集団による検討がなければ、IMOでの日本の議論は、表面的で形式的な空疎なものになりかねない。

先進工業国であり、工業製品の種類も多い日本の取り扱う貨物は、当然多様なものとなる。したがって、他国と比較して日本はIMOでの議論に多く関係する。そのため、上記専門家集団の活躍が極めて重要であり、その活動は単に国内問題に留まらず、世界の海事の安全に繋がるといってよい。

日本における専門家集団に対応している本委員会では、IMOに提出される諸問題を検討するだけでなく、独自に調査課題を設定して、その解決策を探求し、地道で総合的な活動を行うことにより危険物や特殊貨物の運送の安全を増進している。

なお、次回DSC小委員会への対処のため、今後は、以下の課題を検討する必要がある。

(1) BCコード見直しへの対応

(2) 部分風雨密ハッチカバーを有するコンテナ船における危険物の積付・隔離要件

また、引き続きDSC7への各国の提案文書を詳細に検討し、各種安全基準の改善に努める予定である。

本報告書の作成にあたり、ご協力いただいた関係各位に厚く謝意を表するとともに、本報告書が海上運送の安全の一助となれば幸である。

 

 

 

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